摂食障害は「孤独が生む病」 本音を語れる人とのつながり、どうすれば?
摂食障害の患者は推定22万人とされるが、治療につながっている人はごくわずか。周囲に隠し続けている人も多いとされる。どうすれば回復できるのか。摂食障害の支援活動を行う「SEEDきょうと」(京都市下京区)理事長で、児童精神科医院を開業する水原祐起医師(46)に聞いた。 【写真】「むちゃ食い症」働き盛り男性は要注意 ―どんな病気ですか。 極端に食事制限する「神経性痩せ症(拒食症)」と、むちゃ食いをして嘔吐や下剤乱用を繰り返す「神経性過食症」がある。10~20代女性に多いが、30代以降にも男性にもみられる。 ―なりやすい人の特徴はありますか。 完璧主義で真面目。自己肯定感が低く、周囲からどう評価されているか気にしすぎてしまう人に多い。 ―コロナ禍の影響で増えたと聞きます。 自粛を強いられる中で孤独やストレスが増え、低年齢化や深刻化が進んだ。SNSを見る時間が増え、痩せた芸能人に憧れたり、極端なダイエット方法を推奨する情報に触れたりすることも事態を悪化させた。 ―体や生活に支障が出ますか。 さまざまな支障が出る。体重が減って生理が来ない。体がだるく、集中力が続かない。通学や受験ができなくなる。食費が膨大になり、胃酸で歯が悪くなる…。栄養失調で死に至ってしまうケースもある。 ―どうすれば治りますか。 痩せていること以外にいいところがないと思い込んでいる人が多い。私の治療では、自信を持てるよう、これまでと違う考え方や行動を示して変化を促す。 孤独が生む病なので、本音を語れる人とつながることが大切。自分は弱いところもあるけどまあいいかと思えるようになれば改善していく。「同じような友達がいたらどんな言葉をかけてあげる?」と、他者の視点から自己を見つめ直してもらうのも有効な方法だ。 ―どこで治療すればいいですか。 医療なら精神科だが、専門性が高い治療なので、まず地域の保健所に相談してほしい。自助グループなら、支援団体「あかりプロジェクト」(金沢市)が当事者同士が語れる場を定期的に開いている。「SEEDきょうと」でも家族教室を開いている。 病の根本には生きづらさがあり、摂食障害という形で発見できたとプラスに考え、新たな一歩を踏み出してほしい。