静岡・杉尾の不適切盛り土 清水港貝島地区などへ搬出開始
静岡市葵区杉尾の砂防指定地に残土処分会社「富田建材」=罰金の有罪判決=が無許可造成した盛り土を撤去する県の行政代執行に関し、静岡県は12日、土砂の搬出先が同市の清水港貝島地区と市内の民間中間処理場に決まり、同日から搬出作業を開始したと発表した。当初は牧之原市内の民間処分場に土砂を運ぶ計画だったが、地元の反発を受けて白紙撤回したため、工程に遅れが生じていた。 杉尾地区の盛り土は東西に細長い土地に約5・1万立方メートルが積まれている。県静岡土木事務所によると、搬出するのは傾斜が急な東側にある約2万立方メートル。このうち約1万立方メートルは清水港貝島地区に仮置きし、静岡市の公共工事に活用する予定。残りの約1万立方メートルは市内の民間中間処理場に運び、土質を改良して再利用される。搬出する土砂は、土壌汚染対策法や県盛り土規制条例の環境基準を満たしているという。 静岡県は当初、汚染物質が含まれていない約1万立方メートルを3月下旬までに牧之原市の民間処分場に運ぶ予定だった。しかし住民から汚染を懸念する声や県の説明不足に対する不満が相次いだため、県は計画を撤回し、別の搬出先を探していた。 同事務所によると、東側の土砂搬出は当初計画より7カ月遅い2025年3月下旬までかかる見通し。西側の約3万立方メートルについては、一部から汚染物質が確認されているため、撤去や処分の方法を検討している。 一方、杉尾地区に隣接する日向地区にも同社が造成した約37・5万立方メートルの盛り土があり、県砂防指定地管理条例と静岡市が所管する森林法に違反している。県と市は連携して行政代執行を行うため、時期や費用負担を調整している。
静岡新聞社