本格化した「春闘」 どんな流れで行われるの?
企業と労働側による「春闘」が本格的にスタートしました。今年の春闘は大きな注目を集めています。アベノミクスによる円安・株高を背景に企業の業績は回復傾向にありますが、経済を活性化させるには、その企業の利益を働く人たちの賃金アップにつなげ、消費回復によって景気をさらに上向きにしなければなりません。このため、労働組合のトップである「連合」は5年ぶりに賃金全体を底上げするベースアップ(ベア)を要求、一方の経団連も6年ぶりにベアを容認する方針を示しているのです。では、そもそも春闘とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
日本独特である「春闘」
春闘とは労働条件をよくするための団体交渉のことです。日本では毎年4月から新年度が始まり、給料が上がったり、新入社員が入ってきたりします。そこで、新年度になる前の2月から3月にかけ、労働者の団体である労働組合が経営側に対して「給料を上げてほしい」「労働時間を短くしてほしい」といった要求を出し、待遇をよくしてもらう交渉をするのです。春闘は日本独特のやり方といわれ、「春季労使交渉」「春季生活闘争」とも呼ばれます。
3月の集中回答日がヤマ場
しかし、景気は毎年変動し、経営側も業績のいい会社ばかりではありません。そのため春闘は毎年2月にまず大手企業から始まります。大手企業のうち、特に景気のよさそうな業界、賃金アップができそうな会社が最初に労使交渉を行い、その年の労働条件がどう変わるかの基準を示すのです。今年の春闘では、まず自動車や電機メーカー、造船重機などの大手企業の労働組合が経営側に要望書を出します。自動車業界各社の労働組合のベアの要求額は3000~4000円、年間ボーナスはトヨタ自動車が6.8か月分、本田技研が5.9か月分となる見通しです。こうした要求を基準に、交渉は大手企業から中堅企業、中小企業、大都市から地方の企業へと続いていくわけです。3月中旬には経営側の集中回答(大手は今年は3月12日) があり、これが春闘のヤマ場となります。その後、3月いっぱいまでにほとんどの企業の交渉は終わります。