本格化した「春闘」 どんな流れで行われるの?
今年のもうひとつの注目は?
もっとも、すべての会社の労働者が春闘の恩恵を受けるわけではありません。たとえば、自動車業界の場合、完成車メーカーの下に1次下請けや2次下請け、3次下請けと、さまざまな会社が関わっています。大手メーカーで働く人たちの賃金がアップすれば、それだけ人件費が増え、大手企業の利益も圧迫されます。春闘による賃上げが下請けの会社にコストダウンという形でしわ寄せが及ぶケースもあるのです。 特に今年の春闘でもうひとつ注目されるのが非正規社員の賃金アップ交渉です。これまで労働組合は正社員の交渉を優先させてきました。それもあって、正社員と非正規社員の賃金格差が容認されてしまい、結果的に賃金の低い非正規社員が増え、正社員の数は削減されるようになりました。このため、連合も今年の春闘ではパートなどの時給の30円アップを要求しています。非正規社員の待遇をどこまで改善できるか、そこも春闘で労使双方が考えるべき問題といわれているのです。 (真屋キヨシ/清談社)