総額1兆円――国民負担も? 「ゼロゼロ融資」回収困難ナゼ コロナ前から3割増…返済の見込みない“ゾンビ企業”にも貸し付け
日テレNEWS NNN
コロナ禍で政府系の金融機関などが、応急措置的に実質無利子・無担保で始めた「ゼロゼロ融資」。貸し出された約19兆円のうち、約1兆円の回収が難しく、国民負担になる可能性があることが分かりました。その背景や今後の行方について考えます。
■「ゼロゼロ融資」導入時の状況は
有働由美子キャスター 「政府系の金融機関などがコロナ禍で始めた『ゼロゼロ融資』などで企業に貸したお金のうち、約1兆円の回収が難しく、我々の負担になる可能性があることが分かりました。このゼロゼロ融資が導入されたのは2020年3月で、当時は大変な時期でした」 「4月には東京都の小池知事が『ステイホーム。お家にいてください』と呼びかけました。緊急事態宣言が出され、国民には外出自粛が要請されました。その後、飲食店には酒類の提供自粛、夜8時までの時短営業なども要請されました」 「お店や中小企業をはじめ、『大変』という声が多く聞かれました」
■応急措置的に…実質無利子・無担保
小栗泉・日本テレビ解説委員長 「そうした中で導入されたゼロゼロ融資は、金融機関が経営が苦しい中小企業のために実質無利子・無担保でお金を貸すという、応急措置的に始まった制度です」 「これで多くの企業が助かりましたが、返済が本格化した今、倒産などで事実上回収できなくなっているお金が1943億円。返済が遅れていたり、倒産の可能性があったりして回収できなくなる恐れがあるのが8785億円です。合わせて約1兆円となっています」
■実質破綻状態「ゾンビ企業」にも融資
有働キャスター 「倒産してしまうから回収できない、という企業もあるということですね」 小栗委員長 「その1つが、問題になっているいわゆる『ゾンビ企業』です。普通なら融資されない、実質破綻状態だったのに、お金を借りて事業を続けている企業のことです。2021年度で約18万8000社あり、コロナ前の2019年度から約3割増えました」 「当時、ゼロゼロ融資は企業を助けるためにスピード重視、ほぼ審査なしでお金を貸していたので、返済の見込みがないゾンビ企業にも貸してしまいました。これが、回収が難しくなっている要因の1つとみられています」