【工藤会トップの死刑を破棄】1審で「生涯、後悔するよ」→2審では裁判長に何度もうなずく 捜査を指揮した県警OBは驚き「納得できない」 暴排活動への影響は 福岡
FBS福岡放送
4つの市民襲撃事件で殺人などの罪に問われている特定危険指定暴力団・工藤会トップらの控訴審です。福岡高等裁判所はトップの野村悟被告に対する1審の死刑判決を破棄し、無期懲役を言い渡しました。福岡高裁前から中継です。樋口さん。
■樋口淳哉記者 はい。裁判は2時間半ほど前、午後2時40分ごろ閉廷しました。 1審の死刑判決が破棄され、無期懲役の判決が言い渡された野村被告ですが、改めて最後にその理由が読み上げられている際には、何度も何度もうなずきながら裁判長の話を聞いていました。 そして裁判長と弁護士に深々と頭を下げて法廷を出ていきました。 そして、野村被告・田上被告両名の弁護士は、上告する意向を示し、福岡高裁も上告を受理したということです。 4つの事件で殺人などの罪に問われている野村被告。これまでの経緯と、今回の裁判の争点をまとめました。 12日午前、福岡高裁の市川太志裁判長は「主文、被告人野村悟に関する部分を一部破棄し、無期懲役に処する」と述べました。 判決文が読み上げられる間、工藤会のトップ、総裁の野村悟被告(77)はうなずきながら、まっすぐ裁判長を見つめていました。 午前9時ごろ、2人を乗せたとみられる車は福岡拘置所を出発しました。 ■樋口淳哉記者 「野村被告・田上被告を乗せたとみられる車が福岡高裁へ入っていきました。」 午前10時前、深く一礼し、法廷に先に入ったのは、黒のスーツに身を包んだ田上不美夫被告(67)です。そのおよそ2分後に、紺色のスーツを着た野村悟被告が入廷し、裁判は始まりました。
2人が罪に問われているのは、工藤会が関与したとされる市民を標的とした4つの襲撃事件です。 港の公共工事への介入を断ったとされる元漁協組合長が射殺された事件や、工藤会の捜査に長年携わっていた福岡県警のOBが銃撃された事件などで、殺人や組織犯罪処罰法違反の罪に問われています。 控訴審で最大の焦点となったのは、1審で野村被告に下された「死刑判決」が支持されるのか否かでした。 1審では、野村被告らの指示や関与を直接裏付ける証拠はなく、2人は一貫して無罪を主張し続けました。 1審の福岡地裁は「重要な意思決定は被告2人が意思疎通しながら、最終的に野村被告の意思で行われていたと推認できる」として、4つの事件すべてで、野村被告を工藤会の組織力や指揮命令系統を利用して犯行を実行させた「首謀者」と認定しました。 野村被告には死刑、田上被告には無期懲役の判決が言い渡されました。 「生涯、後悔するよ」と裁判長に言い残し、野村被告らは判決の翌日に福岡高裁へ控訴しました。 去年9月、厳戒態勢のなか控訴審が始まりました。ナンバー2の田上被告が、これまでの主張を一転させます。 弁護人が「4つの事件で関与している事件はありますか」と質問すると、田上被告は「あります。看護師事件と歯科医師事件です。傷つけるよう指示しました」と関与を認めました。 一方、野村被告は、弁護士が「田上被告が指示をしたと聞いてどう思いましたか」と質問すると「田上も私のことを思いすぎてくれるくらいの人間やから、すまんなと」と述べたうえで、改めて4つの事件への指示を否定し、「田上被告から事前の話はなかった」と説明しました。 これに対し、検察側は2人の供述には信用性がないとして控訴の棄却を求め、結審しました。