【工藤会トップの死刑を破棄】1審で「生涯、後悔するよ」→2審では裁判長に何度もうなずく 捜査を指揮した県警OBは驚き「納得できない」 暴排活動への影響は 福岡
暴力団排除の運動に参加してきた市民は、活動継続への不安を口にしました。 ■暴排運動に参加してきた市民 「北九州市が暴力の街からやっと治ったかなというのがあるのですが、無期懲役のこの判決が何となくまたぶり戻したような感じです。(暴排運動は)もちろん続けていかないといけないのですが、きちっと解決しなかったら、また何か報復されるから。」 想定外ととらえた人も多かった控訴審判決で、野村被告は裁判長の方を見ながら何度もうなずき、満足げに判決を聞くと、終わりに弁護士に深々とお辞儀し、法廷をあとにしました。 2人の弁護団はすでに上告しています。
■スタジオ 改めて詳しく見ていきます。 こちらの4つの事件について、12日の控訴審判決で1審判決と異なる判断が下されたのが、1998年に発生した元漁協組合長射殺事件の野村被告の関与に関する部分です。 1審では、この部分も含め、すべての事件で野村被告が有罪となっていました。 はい。1審では、組織として厳格な統制があり野村被告の指示があったと「推認」、つまり推測されるとして、野村被告を事件の「首謀者」と認定し有罪になりました。 これが死刑判決の大きな理由になっていましたが、控訴審判決では関与が否定されました。 裁判長は「野村被告の共謀について論理則・経験則に基づいて是認できない、1998年当時、組織の厳格な統制があったとする証拠はなく野村被告の指示や共謀を推認することはできない」としています。 つまり、有罪無罪を決めるうえで、今回の裁判では「推認」というワードがよく見られましたが、そこに事実かどうかを決めるにあたって、判断が分かれたかたちです。
■松井礼明アナウンサー 「再び、福岡高等裁判所前の樋口記者と中継でつなぎます。樋口さん、元漁協組合長の射殺事件を無罪とし、死刑から無期懲役の判断になったのはなぜでしょうか。」 ■樋口記者 はい。元漁協組合長の射殺事件について1審判決は有罪のポイントを3つ挙げていました。 まず、工藤会の前身にあたる組織の組織的犯行であること、これについて福岡高裁は、組織的な犯行であることは認める一方、野村被告の共謀を認めるには限定的だと指摘しました。 2つ目、事件について1審では港湾利権を手に入れたいとの動機に基づくものだと推認されるとしましたが、2審ではこの動機を認定するのは困難だとしました。 3つ目、1審では配下の組員が独断で事件を起こすとは考えられないとしましたが、2審では、野村被告の指示を認めるには合理的な立証がなされていないとしました。 ■松井アナウンサー 「つまり、元漁協組合長の射殺事件で1審が野村被告を有罪とした根拠は、ほとんど否定されたというわけですね。」 ■樋口記者 工藤会の組織性を評する際、「鉄の結束」という言葉が使われますが、福岡高裁は、1998年当時、組織の厳格な統制があったとする証拠はないとしました。以上、裁判所前から中継でした。