「青の祓魔師 島根啓明結社篇」第3話より

悪魔の血を引く少年・奥村燐(CV:岡本信彦)が、父親である魔神(サタン)を倒すために最強の“祓魔師(エクソシスト)”を目指す『青の祓魔師』のTVアニメ第3シーズン『島根啓明結社篇』(毎週土曜夜0:30-1:00ほか、TOKYO MXほか／U-NEXT・Hulu・dアニメストア・アニメ放題ほかで配信)。悪魔とのド派手なバトルが見どころのダークファンタジーながら、家族や友達との絆、葛藤や成長、青春コメディまで、少年漫画の醍醐味がギュッと詰まった大人気シリーズだ。1月20日に放送された第3話は、燐と弟の雪男(CV:福山潤)、杜山しえみ(CV:花澤香菜)の甘酸っぱい三角関係が胸を打つ「正十字学園祭」。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】しえみのキュートなテレ顔に、視聴者からも「可愛さが限界突破してる」の声 ■しえみ入学で、天国から地獄を味わう不憫な燐 学園祭を目前に控え、準備に慌ただしい正十字学園。これまで学園祭のようなイベントを経験したことのない燐はワクワクで、なかでも目玉イベントである音楽フェスを楽しみにするも、このフェスは男女ペアでなければ参加できないダンスパーティー形式だった。燐はお相手をゲットするべく、志摩廉造(CV:遊佐浩二)とともに知り合いの女生徒たちに声を掛けまくるも、あえなく撃沈。 三カ月後に迫る「祓魔師認定試験」に向けて忙しい塾生メンバーから冷たい視線を向けられながらも、なお青春を満喫することを諦めない憐と志摩は、朴朔子(CV:高梁碧)にもアタック。しかしそれも断られてしまい、ついに二人はゾンビ(廃人)となってしまうのだった。 冒頭からコメディ全開な展開。一般的にはイケメンであろう志摩が、顔見知りの女生徒たちからことごとく誘いを断られてしまうのは、ふだんのチャラい言動のツケなのかもしれないが、その後は面識のない女生徒からも拒否されてしまったらしく、女好きを自認する志摩にとってはかなりのダメージだったに違いない。とくにゾンビとなった二人が「生きるってつらい」などと生気のない会話を交わすシーンは、ビジュアルも芝居もインパクト抜群。優等生で真面目なキャラが多い作品だけに、「勉強嫌い」や「不真面目」という共通点をもつ燐と志摩がコンビを組むと、一気にコメディ感が増すのが面白い。 パートナーが見つからず意気消沈する燐たちの前に現れたのは、正十字学園に中途入学してきたしえみだった。このタイミングでのしえみの登場に、思わず「ついに俺の時代が到来した！」と色めき立つ燐。さっそくダンスパーティーに誘おうとする燐だったが、しえみは雪男のことを誘うつもりだと分かり、再び絶望のどん底へ突き落とされる。ところが当の雪男は、「当日はスタッフとして参加するので遊べない」と、しえみからの誘いを断ってしまう。三者がすれ違いつつ迎えた学園祭前日、朴から「奥村君と先生、どっちが好きなの？」と聞かれたしえみは、戸惑いつつ「恋愛なんて私にはまだ早いよ」と答えるのだった。 中盤は燐と雪男、しえみの三角関係のこじれが描かれた。この３人の微妙な関係性はシリーズ開始当初からたびたび描かれているが、これまで答えは出ていない。燐がしえみに好意を抱いているのはほぼ確実だが、雪男としえみの本心がハッキリと分からなかったのだ。ところが今回は、しえみの誘いを断ってしまい、ひとり「クソッ」と後悔する雪男の姿が描かれるなど、ぼんやりではあるものの、雪男がしえみのことを意識していることが分かる。一方のしえみは、朴からのストレートな質問に対し「恋愛はまだ早い」と答えているが、これはおそらく自分の本当の気持ちに気付いていないだけではないだろうか。その無意識の恋愛感情が燐に向けられているのか、雪男に向けられているのかが分からないところが、多くのファンをやきもきさせる要因なのだ。ちなみにこのシーン、しえみはお化けのコスプレをしており、血まみれの特殊メイクのままアタフタするなど、見た目的ギャップの可愛さが光っていた。また、しえみの「恋愛感情」については『京都不浄王篇』の第５話でも少しだけ触れられている。燐に対する自分の気持ちを吐露したしえみに対し、神木出雲(CV:喜多村英梨)が「あんた、それって奥村燐に……」と言いかけるシーンがあるのだ。ただ、それはあくまで出雲の推察であるため、本当のところは分からずじまい。ともかく、気を遣いすぎる燐に不器用な雪男、無自覚なしえみと、なかなかのこじらせ３人組だけに、朴が言う通り「先は長いぞ」と感じる一幕だった。 ■３人の絆は恋愛すら超越!?　最高の青春がここにアリ！ いよいよ学園祭当日。フェスへの参加は諦めてクラスの出し物に専念する燐だったが、休憩中に偶然しえみを見つけ、「俺と踊ろう」と改めてしえみをダンスに誘う。突然の誘いに顔を真っ赤にして動揺するしえみだが、燐は「わかってるよ」としえみの手を取り、そのまま走り出す。フェスの警備を担当していた雪男の元へ着くと、ふたりは「私たちと踊ってください」と手を差し出すのだった。半ば強引に雪男を引き込み、３人は輪になって踊る。しえみは「ありがとう……大好き!!」と、心の底からそう感じて笑うのだった。 学園祭のクライマックスは、作画も演出も、本作がバトル作品であることを忘れてしまいそうになるほど青春感に溢れていて、最高にエモい。さまざまな想いを胸に秘めてしえみをダンスに誘う燐は(作画的にも)男前で、そんな燐にドギマギするしえみは最初から最後まで全力で可愛い。これまで険しい顔ばかりを見せていた雪男も、最後には心からの笑顔を見せるなど、最後は３人の恋愛感情を超越した絆が描かれていて、青春ドラマとしてのひとつのピークを迎えたと言えるだろう。このシーンにはSNSでも「このシーンは名場面に入れたい」、「しえみの可愛さが限界突破してる」、「おでこツンッてしたとこめちゃキュンでした　流石に惚れる」などの声が挙がっていた。 そして、このままでは終わらないのも青エクらしい。これまで謎に包まれてきた塾生メンバーのひとり、宝ねむ(パペット CV:井上剛)が出雲を呼び止め、「今すぐ俺についてこい」と、なにやら不穏な空気を醸し出す。宝の正体、そして出雲が抱える事情とは？　次回の第4話「内通者」は1月27日(土)放送予定。期待して待とう。 ■文／岡本大介