堺雅人、8年ぶり映画主演『平場の月』35年越しラブストーリーの相手役は井川遥
俳優の堺雅人が主演する映画『平場の月』が、2025年秋に公開されることが発表された。『半沢直樹』(13年、20年)、『真田丸』(16年)、『VIVANT』(23年)と、その年を代表する連続ドラマで主演を務めてきた堺だが、映画では『DESTINY 鎌倉ものがたり』(17年、山崎貴監督)以来8年ぶりの主演作となる。 【画像】『平場の月』原作書影 本作は、2018年に刊行された朝倉かすみ氏による同名小説(光文社)。男女の心の機微を繊細に描き、各紙書評にて絶賛され、第32回山本周五郎賞を受賞し、第161回直木賞にノミネートされた。35年ぶりに再会した中学時代の同級生同士。お互い独り身となり、さまざまな人生経験を積んだ2人が意気投合し、中学生以来、離れていた35年のときを埋め、心を通わせていくストーリーは、「こんな“大人の恋愛小説”は読んだことがない!」と多くの話題を呼び、発売当初から映像化権のオファーが30社以上にのぼり、満を持して映画化される運びとなった。 堺が演じるのは、妻と別れ、地元に戻り印刷会社に再就職し、慎ましく、平穏に生活する、そんなどこにでもいるような主人公・青砥健将。堺は、近年の強烈なキャラクターから一転、等身大の実年男性を演じる。 その青砥が中学生時代に想いを寄せていた須藤葉子役で共演するのは、井川遥。葉子は夫と死別し、今はパートで生計を立てているが、中学の時に感じた大人びた線の太さを残しつつも、どこか儚く、切なさを感じる女性だ。 ある日、アパートの部屋から月を眺めていた須藤はその時何を考えていたか、青砥に問われ「夢みたいなことだよ。夢みたいなことをね。ちょっと」と返す。50歳にして初めて、自然にひかれ合うようになった2人。やがて未来のことも話すようになるのだが…。 ともに『半沢直樹』(20年)に出演していた2人だが、堺は「僕が演じる青砥は井川さん演じる須藤あっての青砥だと思っています。撮影が始まり、役としての井川さんと出会って、須藤の横にずっといたいなという気持ちが強くなりました」。井川は「堺さんは懐が深く、温かくて包み込んでくれるような方です。年齢を重ねてまたご一緒できること楽しみにしていました」とそれぞれコメントしている。 監督を務めるのは、『花束みたいな恋をした』(21年)で興行収入38億円の大ヒットを記録した土井裕泰。脚本は『ある男』(22年)で日本アカデミー賞最優秀脚本賞、ヨコハマ映画祭脚本賞を受賞した向井康介。原作では断片的な回想として描かれていた中学時代の初恋の記憶を、映画ではさらに掘り下げながら、35年越しのラブストーリーを繊細に綴る。『花束みたいな恋をした』で等身大の若者の出会い、恋愛から別れまでを丁寧に表現した土井監督が、今作では15歳の瑞々しい初恋と大人のリアルな恋愛を描き出す。 土井監督は、今回が初タッグとなる堺について、「原作や台本もボロボロになるまで読み込んで、情報をすべて取り込んでいるが、最後は削ぎ落して、そのまま立っている感じがします。現場で堺さんのお芝居を見て、青砥ってこういう人なんだと教えられるような、青砥をわかっていくことが多いです。青砥という人が堺さんの中にあると思いますが、こちらの要求にも柔軟に対応してくれ、堺さんと役を作っていくのが本当に楽しいです」。 ドラマ『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲』(22年)以来のタッグとなる井川については「ご一緒した際に、この須藤のような“太いところがある人”と感じていました。須藤は一筋縄ではいかない難しい役です。須藤のシーンを撮影する度に井川さんとお互いに持ち寄って、見つけながらやっているような感じです」と撮影現場での感触を語っている。 原作発表時には、朝霞市、新座市、志木市など埼玉県内の実在の地名や店舗が多数登場し、話題となったが、映画でも、同市内を中心にロケーションを敢行。堺は「いち原作ファンとしては聖地巡りのような、本当に夢のような日々が始まったなと感じています」とコメント。風景がリアルな恋物語を豊かな色彩で包み込んでくれそうだ。