引き取り手のない「無縁遺骨」約6万柱。自治体負担の葬祭扶助が増加して財政を圧迫…総務省「厚労省は保管のあり方について方針を示すべき」
総務省の人口推計によると、日本の死亡者数はここ数年で増加傾向にあり、2022年には150万人以上の方が亡くなったそう。そのようななか、「高齢化と孤立化で無縁遺骨になる可能性は誰にでもある」と話すのは、朝日新聞記者の森下香枝さん。森下さんは、「引き取り手のない『無縁遺骨』は、2021年10月時点で少なくとも6万柱にのぼる」と言っていて――。 【写真】葬祭扶助の金額の範囲で納骨(永代供養)まで行うことは難しい * * * * * * * ◆無縁遺骨6万柱という現実 全国の市区町村で管理・保管している引き取り手のない「無縁遺骨」は、2021年10月時点で少なくとも6万柱にのぼることが、総務省の初調査で明らかになった。 報告書によると、5万4千柱は身元が判明しているものの引き取り手がない遺骨、身元がわからない遺骨はわずか6千柱だった。 報告書によると、無縁遺骨は市区町村の一室のキャビネットや倉庫、葬儀社の保管室、仏教寺院などの宗教施設、神社仏閣の納骨堂、遺品整理業者の倉庫、老人ホームの無縁墓などに保管されている。 「自治体によって納骨堂に移った遺骨はカウントしていないケースもあり、実際はもっと多いとみられる」(同省)という。 取り扱いに苦慮しているようで、「親族への遺骨引き取りの意思確認の統一基準が決まっていないため、判断に困る」「無縁遺骨はどの程度の期間保管しておくべきか」「相続人になり得るのが3親等内なので意思確認しているが、回答をもらえないなど事務的負担が重い」「遺骨をいとこが引き取ることになった際に、本人が提出した戸籍謄本には親同士が兄弟であることまでは記載されていなかったため、市区町村で請求して確認したが、このような場合の戸籍入手は適切か疑問がある」という疑問や声などが寄せられていた。 保管から一定期間が経過したり、保管場所が満杯になったりした場合、骨つぼから骨を取り出して合葬したり、海洋散骨するという市区町村もあった。 さらにこんな要望もあった。葬祭扶助の金額(約20万円)の範囲で納骨(永代供養)まで行うことは難しく、金額内で納骨までしてくれる業者もあるが、合祀が多いという。 「合祀だと遺族が万一、後で引き取りにきても渡せないので、骨つぼに入った状態で保管することになる。こちらの費用も対象にしてほしい」という要望が市区町村から寄せられていた。 法令上、引き取り手のない遺骨の保管に関する規定はない。 「今後も無縁遺骨は増加することが想定されることから、厚労省は遺骨の保管のあり方について市区町村に方針を示すべき」と総務省は指摘する。
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