【解説】避難所で感染症拡大のおそれも…「災害関連死」を防ぐには? 現地で医療支援の医師に聞く 能登半島地震発生から9日目
■避難所は“飽和状態” 感染症の拡大懸念
藤井キャスター 「避難生活が続くと、感染症のリスクも高まってきます」 「石川県などによると、これまでに少なくとも穴水町の避難所1か所で3人が新型コロナウイルスに感染。また、輪島市でも1か所の避難所で新型コロナウイルスが2人、ノロウイルスに感染した人が7人確認されたということです。 石川県の馳(はせ)知事は8日、『避難所で今後、感染症がまん延する懸念があり、感染者を隔離する必要があるが、すでに飽和状態』と危機感を表しています。 同じ避難所で新型コロナウイルスとノロウイルスが確認されましたが、1か所でさまざまな感染症が拡大する可能性があるんですね?」 増野医師 「そうですね。たとえば“飛まつ”を介してうつるような風邪やインフルエンザのようなもの、さらには、嘔吐物や便などによって広がるようなノロウイルスのようなもの、そういうものがこういった時期には増えてくる可能性がありますので、我々はそういうものを注意して避難所でみていました」
■「断水」で衛生環境悪化のおそれ 避難所での感染対策は?
藤井キャスター 「実際に、水が流れないということもあって、便がビニール袋などに集められている避難所などもかなり数多くありますので、そういうなかで衛生状態を維持するのは非常に難しいと思われます。 また、感染症などを防ぐためには衛生環境が大切になってきますが、石川県では、増野医師が医療支援を行った能登町など6つの自治体の全域で、ほぼ断水しているということです。県内では5万8000戸以上が断水している状況ですが、断水する中でも、感染対策というのはできるんでしょうか」 増野医師 「水が使えないという状況のなかで、プールの中にためていた水を使って流したりしていましたが、不衛生になりがちですので、トイレを衛生的に保つという意味で『ビニール袋を使った便の処理に変えましょう』と。そして、さらには、アルコールを使った手指衛生などを現地で行うなどしていました」
■1時間に1回「換気」を…“衛生をまもるため”
藤井キャスター 「一方で、マスクがある避難所ではマスクをしていただきたいですし、『換気』というのも重要になってくるのでしょうか」 増野医師 「先ほどお話しした“飛まつ”によって感染するようなもの、そういうものに対しては我々は現地で『できるだけ換気をしましょう』ということで、避難所の中で1時間に1度、換気を促すなどしていました。 “飛まつ”を介してうつるような疾患に関しては、『換気』はとても効果があると思います。ですので、我々は現地ではできるだけ、“衛生をまもるため”ということで『換気』をお願いしました。寒いので『換気』というのは現地の方にとっては大変なことではありますが、実際に、皆さん本当によく『換気』をしていただいていました」