大谷翔平が頻繁に話す言葉があった…アメリカ最大の日刊紙が映した「ほんとうの魅力」
前人未到の50-50(50本塁打、50盗塁)、ワールドチャンピオン、3度目のMVPを成し遂げた米大リーグ(MLB)・ドジャースの大谷翔平選手。 【写真】大谷翔平がメジャーに行く前に「熟読していた文庫本」、その「本の名前」 その大谷選手の取材にエンゼルスへの移籍前から熱心に取り組み、地元紙ならではの肉薄した視点で精緻に報道し続けてきたのが、アメリカ最大の日刊紙・Los Angeles Times(ロサンゼルス・タイムズ)。 L.A. TIMESがドジャース移籍後の大谷選手で注目したのが、SNSでの発信。大谷がチームメイトとともに発信する親しみやすい動画によって、彼が国を超えてスターになっていると論じた。 100点を超える写真と13万字以上の詳述で大谷の全足跡を記した「L.A. TIMES」公式独占本『OHTANI’S JOURNEY 大谷翔平 世界一への全軌跡』(L.A Times編/児島修訳、サンマーク出版刊)。12月24日の日本発売を前に、本書からその一部をお届けする。
トラウトとの再会「普通です」
(ディラン・ヘルナンデス 2024年3月12日) 大谷翔平は、マイク・トラウトとの再会について詳しくは語らなかった。 「普通です」彼はドジャースの春季キャンプ場での、元チームメイトたちとの再会について日本語でそう語った。 トラウトや他のエンゼルスの選手たちが、大谷がドジャースと結んだ10年7億ドルの契約を祝福してくれた。トラウトとは、お互いの家族のことを尋ね合った。それだけだ。 だが、実際は「それだけ」ではなかった。そのときの実際の様子が、エンゼルスのインスタグラム・アカウントの動画で明らかになった。 動画では、バッグを肩にかけたトラウトが、笑顔で大谷に向かって歩く様子が映っている。 「相棒!」トラウトは呼びかける。 大谷とトラウトが右手で固く握手し、引き寄せ合って抱擁する。そのまま1分ほど笑顔で談笑し、その後お決まりの写真撮影に応じた。 よく、「1枚の写真は、千の言葉に値する」と言われる。では、1本の動画の価値は? 複数の画像を連続して表示するGIF形式のファイルには? 大谷の場合、こうした動画や画像が、彼を単なる野球選手からさらなるスターへと変貌させる──母国以外でも。 大谷は公の場では英語を話さず、アメリカのファンにメッセージを伝えるときは通訳を介す。 日本語でも慎重に話す。記者とのやりとりに目立ったものはない。彼が好んで言うように、「普通」だ。 大谷は、元ボクシング・ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリのように、挑発的な言葉を雄弁に語ったりはしない。 しかし、言葉で語らなくても、彼の存在は野球というスポーツの枠を超えて広がっている。SNSのコンテンツが、彼が言葉で語らないことを代わりに伝えているからだ。