【アジア最大規模の軍事演習】「スーパーガルーダシールド」で″陸自の精鋭″が躍動した!
ハイマースの轟音
茂みに隠されるように置かれた、高機動ロケット砲システム「ハイマース」。6輪の軍用トラックにロケットランチャーを積み、最高速度85㎞/hで移動する兵器で、’22年6月に米軍がウクライナ軍に供与すると、ドンバス攻防戦等でロシア軍地上部隊を一気に制圧。反転攻勢を成功させるきっかけとなった。 【画像】アジア最大規模の軍事演習「スーパーガルーダシールド」 緊迫の「現地写真」 ハイマースの発射機を持ち上げて角度をつけるや轟音が響き、赤い炎とともに、ロケット弾が次々と飛び出していった。 今度はかすかなエンジン音とともに米軍やインドネシア軍の人員輸送車、陸上自衛隊の高機動車が次々と前進してきた。陸自車両には、日本版海兵隊こと水陸機動団の隊員たちが乗る。数百mほど進んだところで下車展開し、120mm迫撃砲RTを設置。間髪を容れず、次々と発射。前線で戦う各国部隊を火力支援した――。 8月26日から9月6日にかけ、インドネシアのジャワ島やスマトラ島内の各基地や演習場などで、多国間軍事演習「スーパーガルーダシールド24」が実施された。主催国であるインドネシアと米国をはじめ22ヵ国が参加した。’07年に二国間演習として始まり、今やアジア最大規模の軍事演習だ。冒頭のシーンは、同演習のクライマックスとなった多国間実弾戦闘射撃訓練「CALFEX」での一コマである。 ◆台湾有事を豪州、インド、韓国も懸念 念頭に置いているのは、敵国からの島嶼(とうしょ)奪回作戦。多国間による共同での作戦遂行能力および戦術技量の向上を図り、インド太平洋地域と軍事パートナーシップを構築することが目的だ。 「これまで陸自は同盟国の米軍以外と訓練や交流する機会がほとんどなかった。昨今、台湾有事のリスクが高まったことでインドネシアやオーストラリアなど、中国の覇権主義に脅威を感じる国々との共同訓練に踏み切っているのです」(陸上自衛隊幹部) 演習には、陸自の誇る第1空挺団も参加。空挺作戦を遂行し、見事成功させている。次回は韓国とインドも部隊を派遣する予定だ。 新たな協力の枠組みが作られることは、待ったなしなのだろう。 『FRIDAY』2024年10月11日号より 撮影・文:菊池雅之 軍事フォトジャーナリスト
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