中国製自動車に「イタリア製」違法表示で600万ユーロの罰金
(ブルームバーグ): イタリアの独禁法当局は20日、伊自動車メーカーのDRが奇瑞汽車など中国メーカーの車をイタリア製と違法に表示していたとして、600万ユーロ(約10億2000万円)の罰金を科した。
同局の発表によると、DRは少なくとも2021年12月以降、奇瑞汽車、北京汽車集団(BAICグループ)、安徽江淮汽車集団が製造した車をイタリア製として宣伝していた。こうした中国製自動車はイタリアでの「最終仕上げ」を経て、DRとEVOのブランド名で販売されているという。
この動きは、イタリア製であるかのような印象を与える外国製自動車に対するメローニ政権のここ数カ月の取り締まりを、さらに強化するものだ。5月には、金融当局がモロッコで生産されたフィアット・トポリーノ数十台を押収した。フィアットの親会社ステランティスは、ポーランド製の新型アルファロメオをミラノと呼ぶ計画に伊政府が異議を唱えたことを受け、名称変更を余儀なくされた。
ナポリ北部に本社を置くDRは、決定に不服を申し立てるという。同社広報は20日の電話取材に対し、車は60-70%しか中国で事前に組み立てられておらず、燃料システムや衝突基準など、欧州の規制を満たすためにDRの工場で重要な変更を加えていると述べた。同社は、アジアで車を一部製造することは、自動車業界では一般的なことであり、「一般に隠しているものではない」としている。同社の広告については、「疑惑にあるような、イタリアで自動車を完全に製造していると宣伝する意図はなかった 」と述べている。
欧州各国が自動車企業に対し、給与の高い仕事を維持するよう求める中、メローニ政権は、より低コストの国への生産移管計画を巡り、ステランティスとも対立している。先週、欧州連合(EU)は中国製のバッテリー電気自動車(EV)に対する関税を最高48%に引き上げたが、これは域内の持続可能性目標にとって重要な製品について、低コスト競争から域内自動車メーカーを保護する狙いがある。