阪神の藤浪らに続きサッカー界に激震!ヴィッセル神戸DF酒井高徳が新型コロナ「陽性」…Jリーグに及ぼす影響は?
感染リスクはゼロにならない、という考え方を専門家チームと共有したクラブの指示のもとで、選手たちは日々の行動や同行者などを細かく記録。万が一の場合には濃厚接触者がすぐにわかる措置を取ってきたなかで、酒井の行動履歴には阪神の選手との接触は確認されなかったという。 56を数えるJクラブのなかでもヴィッセルは感染防止対策をチームの内外で迅速に、リーグ全体でも先頭に立つ形で実践してきた。ホームのノエビアスタジアム神戸に横浜FCを迎えた2月23日の開幕戦では、来場するファン・サポーターに肩を組み、あるいは応援歌を声高に歌うスタイルだけでなく、応援旗や鳴り物などの持ち込みそのものも禁じる措置を打ち出した。 選手やスタッフ、あるいはその家族に対する啓発活動だけではなく、取材に訪れるメディアにも感染防止対策を厳しく徹底。感染判明後に自身のインスタグラム(sakai_go1123)を更新した酒井は、関係するすべての方々へ不安と迷惑をかけたことを謝罪。そのうえでこんな言葉を綴っている。 「皆さんが日頃から、一生懸命に予防や対策をされてる中、自分もプロフェッショナルという精神を掲げ仕事をしていることを自覚し、人数の多い場所に行かない、消毒や手洗いをする等、気をつかって生活をしておりました。しかしこのようなことになり、大変情けなく思っております」(原文のまま) アルビレックス新潟ユースから2009年にトップチームに昇格した酒井は、2012年から活躍の場をドイツへ移した。シュツットガルトとハンブルガーSVで約7年半にわたってプレーし、その間にロンドン五輪、ブラジルおよびロシア両ワールドカップに臨んだ日本代表に名前を連ねている。
昨夏に移籍したヴィッセルでは練習の段階から激しい闘争心を、チームメイトと険悪な雰囲気になることを厭わずに発揮。戦う姿勢を取り戻したヴィッセルが描く軌跡は右肩上がりに転じ、今年元日の天皇杯決勝で鹿島アントラーズを撃破。悲願でもあった初タイトルを獲得している。 プレーでヴィッセルを変えたのが稀代の司令塔アンドレス・イニエスタ(35)ならば、内側からメンタルを変えたのが酒井だったと言っていい。ピッチの内外でプロフェッショナリズムを貫き、新型コロナウイルス感染にも細心の注意を払ってきた酒井は、インスタグラムでもこう綴ってもいる。 「今、自分から発信できる事は、コロナウイルスは、本当にどこに潜んでいるかわからないという事です。感染してしまった以上、僕には自分以外の方の感染がないことを本当に心から願うことしかできません…」(同) 公式戦再開へ向けたJリーグの4つのプロジェクトで、観戦環境対策チームのリーダーを務める藤村昇司特命担当部長は、藤浪らの感染発覚に際して「いまは社会全体で感染リスクが高い時期なので、野球やサッカーの関係者から感染者が出ることは不思議ではないと思っています」と語っていた。 緊急事態へ向けて抱いていた覚悟が、図らずも現実のものとなってしまった。しかし、酒井自身がインスタグラムで「本当にどこに潜んでいるかわからない」と恐怖を明かしたように、移動はすべて公共交通機関ではなく車を利用するなど、新型コロナウイルスの感染予防に対して最大限の神経を割いていたヴィッセルの選手が罹患してしまった事実がもたらす衝撃は大きい。 公式戦再開が再び延期されたことを受けて、ヴィッセルは27日から4月6日まで11連休に入っている。オフと言っても不要不急の外出を控え、日々の検温やうがい手洗いの励行などの予防策を欠かさないように、という指示が出されているなかで酒井の感染が確認された。