取材ノート 異なる視点踏まえて行動
■先日、取材担当地域の新聞販売店を訪れる機会があった。配達の状況について、店主は「大手企業に比べて、中小企業への配達が減ってきているのが気がかり」と述べた。あらゆるコスト上昇が中小の経営体力を奪っている時代。私がやはりそうかと思いを巡らせていると、店主は続けて「新聞社は大ニュースを掲載すれば購読者が増えると思っているが、それが新規獲得につながることはない」と強調した。 ネットや交流サイト(SNS)が普及した今、大ニュースがあれば瞬く間に広がる。詳細が知りたければ、そのニュースだけ電子版の記事を購入すれば事足りる。店主からは「購読し続けるメリットを明確にして、新聞記事を書いてほしい」と意見をいただいた。 ネットやSNSの台頭で、新聞の役割が問い直されている。記者として働いて4年目。漠然と「良いニュースを書けば新聞は読まれる」と考えていたが甘かった。書き手、読み手の各視点で「良い」の定義は異なる。「良い」という曖昧な言葉で思考を止めず、さまざまな視点や、環境の変化を踏まえて行動できる記者でありたい。 ■野田 哲示(のだ・てつじ)26歳、愛知県出身。西濃エリアを担当。西濃への理解を深めるため、12月に「おおがきマラソン2024」に出場する予定。ハーフマラソンは初めてだが、西濃のランナーに意地を見せたい。