五十嵐カノアが大切にする「努力」のスピリット 「今までで一番、サーフィンにハマってます」
2大会連続で五輪に出場した五十嵐カノア(27)。東京五輪で銀メダルを獲得し、金メダル候補の一人として臨んだパリ五輪は9位に終わった。五輪後、初めて帰国した彼が語った、五輪そしてサーフィンへの思いとは。AERA 2024年11月11日号より。 【写真】蜷川実花が撮った!AERAの表紙を飾った五十嵐カノアさんはこちら * * * 4年後のロサンゼルス五輪は、生まれ育ったカリフォルニアの海。五十嵐カノアらしい、攻める技術が100%生かされる波だ。 「次は技術が大切な大会になる。カリフォルニアは自分から点を作りにいける、運任せが少ない波です。僕は、自分が大変な努力をして、自分の力で勝つ感覚が好き。自然相手のことで負けるのは難しい気持ちだし、勝っても気持ち良くないですから」 話していくうちに、彼の信念が見えてくる。 「サーフィンをやっていて、一番やりがいを感じるのは、努力が結果につながって『あの時、努力して良かったな』と振り返る瞬間です。だから普段から頭の中で『努力』という言葉を繰り返して練習するんです」 「努力」という言葉にこだわる。それは、米国生まれの日本人として、譲れないスピリットを象徴している。 「努力って、英語にはぴったりな言葉がありません。似ているのはDeterminationだけど、重さが違う。努力は、心の中から湧き上がるもの。自分への厳しさを含んでいる。その精神を大切にしています」 5カ国語のマルチリンガルだからこそ感じる、日本語に込められた魂。では五十嵐にとって英語とはどんなものなのだろう。 ■4年後をどう迎えるか 「英語は世界を広げてくれるもの。英語を喋らないと、スポーツに限らず、世界が全部見えません。英語をマスターするのは大変かもしれないけど、ベーシックさえ話せれば、友達が出来ることで上手くなっていきます。日本って安全で快適で食べ物もおいしくて、日本から出たくない気持ちは良く分かります。でも僕は英語が話せることで、どの国に行ってもそこがホームと思えて、サーフィンも勉強も努力できる。世界で挑戦していくためのツールになるのが英語だと思います」