40代以降の女性に多い「胆道がん」そのサインとは?便や皮膚の色にも変化が…|医師が解説
胆道がんとは、胆道にできるがんの総称。がんが発生した場所により3つに分類されます。その初期症状とは?進行が進むと現れる主な症状や治療方法について、医師が解説します。 〈図解〉胆道は、その役割から肝外胆管・胆のう・十二指腸乳頭の3つに分けられている ■胆道がんとは何か 胆道とは、胆汁が通る道であり、肝臓で作られた胆汁という消化を助ける液を小腸に運ぶために胆道があります。 胆道は、その役割から肝外胆管・胆のう・十二指腸乳頭の3つに分けられています。 また、肝外胆管は肝門部領域胆管・遠位胆管に分かれていて、肝外胆管は、肝臓から十二指腸まで胆汁が通る管のことです。 胆のうは胆汁を一時的に貯める袋であり、食事をすると、胆のうから胆汁が十二指腸に送り出されます。 十二指腸は小腸の一部であり、胆汁の流れを調整していて、胆管と十二指腸のつなぎ目が十二指腸乳頭です。 胆道がんは、がんが発生した部位によって、胆道がん・胆のうがん・乳頭部がんに分かれますが、そのなかでも最も多くみられる症状は黄疸(おうだん)です。 それ以外にも、右脇腹の痛み・腹部腫瘤・体重減少・発熱・倦怠感・食欲不振があります。 胆汁には黄色のビリルビンが含まれているのですが、がんによって胆道が詰まったり狭くなったりするとビリルビンが血液に流れ込み、黄疸が出現し、その多くは、皮膚や眼球部が黄色くなったり、尿の色が濃くなったりします。 また、十二指腸に排出されるビリルビンの量が減るため、便中のビリルビン量が減り、便が灰色や白っぽくなります。 ■初期の頃に気づくことはできるか? 胆道がんは、いずれも症状が出づらいため、初期症状に乏しいです。 最初に出る症状としては、胆管がんと乳頭部がんでは、胆道の狭窄による黄疸が多く、90%を占めています。 また、割合としては少ないですが、発熱、腹痛、体重減少といった症状が最初に出る場合もありますし、健康診断での採血の異常や腹部超音波検査、胃カメラの検査が胆道がん発見のきっかけとなることもあります。 胆道がんは初期での症状出現は少ないのですが、部位によって症状の出方が多少異なるため、少しでも気になった場合は受診するのがおすすめです。 胆道がんを疑った際に、最初に行われるのは、血液検査と腹部超音波検査です。 無症状であっても、健康診断の血液検査から偶然発見されることもあります。 胆管の内部を確認して、詰まりがあったり狭くなっていたり胆汁が貯まって拡張されたりしていれば、追加でCTやMRI検査が必要ですし、更に詳しい検査が必要と判断されると、内視鏡を使用した検査・生検・細胞診などを行います。 ■胆道がんの治療 胆道がんの治療方法は、主に薬物療法や手術が主流です。 緩和を目的とした、放射線治療・薬物療法・胆道ドレナージもあります。 胆道がんをなくすには、手術で取り除くのが最も有効と考えられているため、切除可能な場合は手術が第一選択となります。 胆道がんになると、黄疸のために食欲が落ちてしまい、体重減少・栄養不足が生じます。 手術をするためには、栄養コントロール・体力強化によって術前の状態をより良くすることも大切です。 胆道がんの手術は他の臓器と比較して難しい場合が多く、周囲への広がりが大きかったり他の臓器に転移していたり取り除くのが困難な部位にあったりすると、薬物療法が選択されます。 薬物療法によって、手術で取り除ける程にがんが小さくなる可能性もあるため、薬物療法と手術を併用することもあります。 今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。 文/甲斐沼孟(医師)
甲斐沼 孟