新紙幣、流通量の約5割を今年度内に印刷へ 20年前は1年で新旧6割が入れ替わる
新紙幣の発行が3日に始まる。紙幣のデザイン刷新は20年前の平成16年以来で、一万円札、五千円札、千円札の3種類が対象だ。日銀によると、今年度内に計74億8千万枚が印刷される。印刷枚数は足元の紙幣の流通量に対して約46%にあたる。前回、紙幣が一新された16年は1年間で6割程度が新紙幣に入れ替わった。ただ、キャッシュレス決済などが普及しており、前回と同じようなスピードで新紙幣が使われるようになるかは見通せない。 【写真】新紙幣の貼付工程=東京都北区の国立印刷局東京工場 一万円札の肖像は福沢諭吉から実業家の渋沢栄一に、五千円札の肖像は樋口一葉から女性教育の先駆けとなった津田梅子に、千円札は野口英世から近代医学の基礎を築いた北里柴三郎にそれぞれ交代する。 日銀が国立印刷局に発注し、新紙幣が印刷される。日銀は国立印刷局から納入された新紙幣を本店や支店に保管。3日以降に銀行などの金融機関に引き渡し、新紙幣はATMなどを通じて社会に行き渡る。 自動販売機や券売機などのメーカーでつくる日本自動販売システム機械工業会によると、新紙幣がどこでも使えるようになるには1~2年程度かかるという。 約220万台が設置されている飲料自販機の対応の遅れが目立ち、3日の発行時点で新紙幣が使えるのは2~3割程度にとどまるという。飲食店の券売機や駐車場の精算機は5割程度で新紙幣が使えるようになる。鉄道の券売機、スーパーやコンビニエンスストアのレジは8~9割、金融機関のATMは9割以上が対応できる見通しだ。 同工業会の担当者は「20年前は2年程度でほぼ新紙幣に切り替わった。今回も、それまで(発行から2年程度まで)には、遅くとも自販機などの対応が必要になる」としている。(大柳聡庸)