似ているようで対照的なぶいすぽっ!後輩コンビ 繊細な声が魅力の藍沢エマ&紫宮るなの足跡
現在のVTuberシーンにおいて、バーチャルタレントの活躍する分野は日々拡がっている。そのなかで年々支持を強めているのがBrave groupが手がけるVirtual eSports Project「ぶいすぽっ!」である。 【画像】現在は活動休止中のぶいすぽっ!藍沢エマ 業界においてさまざまな趣向のプロジェクトが存在するなかで、「ぶいすぽっ!」が特色としているのは、eスポーツに特化した事務所であること。とくにFPSジャンルを得意とするメンバーが多く、なかには各タイトルにおける認定ランクで上位に食い込む者もいるほどだ。 現在所属するメンバー20人は昼夜問わずゲーム配信をおこない、プロジェクト内外で催される大型大会や企画へ参加するなど、ここ数年ですこしずつ存在感を示してきた。配信を通じて印象的なシーンを生み出してきたことで、コラボ商品や商品広告にも起用されるようになっており、所属タレントが様々な形で活躍する場面が増えてきている。 現在の運営体制となってから約4年ほど、シーンをリードする「ホロライブ」「にじさんじ」にも劣らない「ぶいすぽっ!」の魅力が広く知られつつある。今回はそんな「ぶいすぽっ!」メンバーから、藍沢エマと紫宮るなの2人について書いていこう。 ■清楚・可憐・エレガント ぶいすぽっ!2人目の清楚担当・藍沢エマ 2021年9月14日にSNSに初投稿し、18日に初配信をしてデビューした藍沢エマは、デビュー時から現在に至るまで一貫した魅力で多くのリスナー・ファンを生み出してきた。 少しあどけなさを感じさせる水色の丸っこい瞳に対し、毛先にかけて薄青のグラデーションがかかった薄い黄色のロングヘアー、白と青のカラーリングでしつらえたドレスをまとった姿は、まさにエレガントといって差し支えない。他の衣装でも、白・青・薄青緑といったクリアな色使いの衣装が揃っており、ドレッシーかつフェミニンな雰囲気は、ほかのぶいすぽっ!メンバーとは一線を画すものだ。 藍沢エマといえばおだやかな口調と繊細で軽やかな声色も特徴的で、ゲーム配信中に突然叫んだり驚いてしまっても、視聴者の耳に刺さって不快感をもたらすことはほとんどない。もっとも、リアクションひとつとってもおだやかに反応をしていくタイプであり、ルックス・言動合わせて「おしとやかな女の子」とあえて口にしたくなるほどだ。 以前筆者は彼女のことを「清楚」「可憐」「エレガント」という言葉で評したことがあるが、そのイメージは数年経過したいまでも不変の魅力として彼女から溢れ出ている。 藍沢の先輩たちといえば、花芽すみれ・なずな姉妹を筆頭に、一ノ瀬うるは、橘ひなの、英リサなどがおり、自身と同じ2021年にも神成きゅぴ、八雲べにといった面々が先んじてデビューしている。 そんな先輩たちの悪ノリからたまに漏れ出る高圧的な言葉遣いや、一癖も二癖もあるパーソナリティなど、会話もイジリも上手な先輩たちと共にさまざまな配信をしていくことになった藍沢エマ。デビュー当初は緊張やプレッシャーを感じていただろうが、今ではファンやリスナー、先輩たちにも冗談を言い返すほどに柔和な一面を見せるようになった。 彼女の清楚で可憐なイメージが強すぎるあまり、「本当は裏の顔があるのでは?」などとイジられることもしばしば。英、八雲とともにコラボした際におこなった、「おしとやかさ・礼儀正しさを前面に押し出し、丁寧な言葉遣いで会話する」お嬢様な振る舞いで『Apex Legends』配信は、その最たるケースだろう。 ぶいすぽっ!のデビュー順に合わせて、長女・英リサ、次女・八雲べに、三女・藍沢エマという童話『シンデレラ』のような構図をとった3人は、ゲームをプレイしながらさまざまな会話で清楚さをアピールする。 清楚らしく振る舞ったり、藍沢に対して無茶振りをしてみる英・八雲。しかし、藍沢はといえばナチュラルに行儀良い言動をする(あるいはその逆をしようとして失敗する)ことで「藍沢の清楚さ・可憐さ・エレガントさ」がかえって輝くような形となってしまう。こうしてナチュラルにオチがついてしまう流れが、この配信の見どころだ。 こういったコラボややり取りを何度も経験したことで、デビュー当初はやや肩に力が入っていたように見える藍沢もいまではお笑い/漫才/コントの空気感を読むまでに成長。「なにかあれば相手をイジろう」「漫才をしてみよう」という姿勢すら見せるようになった。 言動や所作一つひとつの女性らしさにくわえ、時が経つごとにプレッシャーや緊張に慣れ、持ち前の柔和なマインドが現れやすくなったのだろう。ぶいすぽっ!メンバーやファンからは年長者・小雀ととと同じ「ぶいすぽっ!の清楚枠」として見られるようになり、ぶいすぽっ!内でのポジション・存在感をしっかりと広めることに成功したのだ。 ■『原神』にハマった藍沢エマ アニメ・マンガ好きのオタクな一面が親近感を誘う そんな藍沢だが、活動しているなかでは『Apex Legends』『VAROLANT』といったFPSゲームをプレイすることが多いのだが、ここ1年で増えているのが『原神』のプレイ配信である。 miHoYoが開発・発売しているオープンワールド系アクションゲームである『原神』は、日本のゲーム作品やアニメ作品に大きな影響を受けており、キャラクターデザインやストーリー設定を始め、多くの要素が日本のゲーマーらにもヒットしている。 藍沢も2023年2月に同作品をプレイして以来、1年以上にわたってコツコツとプレイしており、YouTube・Twitch問わずに配信している姿を見せている。 ストーリーのなかで描かれるキャラクターの在り方に心動かされながら、進行上必要な素材集めやさまざまな言動をゆったりと楽しむ藍沢。『原神』からの予告番組もミラー配信してリスナーと共に最新情報を追いかけるなどしており、ここまでくると配信者やゲーマーというよりも「原神ファン」と言ったほうがしっくり来るかもしれない。 ちなみに『原神』をプレイする際の配信タイトルは、「俺は帰ってヤツらの尋問をしてくる」「お前に同行させてもらうぜ。」「…この瞬間、お前は永遠を手にする。」など格好良いタイトルがつけられているのだが、これらはすべて推しキャラクターであるガイアのセリフを引用しているのだとか。 こうして、気づけばぶいすぽっ!内でもっとも『原神』をプレイしていることになった藍沢だが、『原神』を通じて、他配信での言動や他メンバーの話しなどでうっすらと知られていた“藍沢エマのオタクな一面”が前面に出ていることも、ファンが配信を楽しみにしている理由になるだろう。 デビュー以前からマンガやアニメが好きであり、『名探偵コナン』『東京リベンジャーズ』『呪術廻戦』『僕のヒーローアカデミア』など近年の人気作品はそれぞれが流行る時期にしっかりハマってきた。 特に『ハイキュー!!』の影山飛雄がもっとも好きなキャラクターであると語っており、たびたび『ハイキュー!!』の魅力とともに熱弁を振るっている。影山の誕生日にケーキを買って祝ったことがあるだけでなく、「飛雄」と下の名前で呼んでいることがバレてしまい、リスナーと「推しの呼び方をどうするか?」という話題で語り合ったこともある。 先輩から影山飛雄にまつわる質問をされた際にはほぼ即答し、ちょっとでも解釈と異なることを言われると「飛雄はそんなこと言わない」とピシャリと返答。「彼女目線すぎる」「話し方がキモい」などと言われつつ、同じくオタク気質な一面を持つ橘ひなのや英リサらからは同じオタクとして厚い信頼が置かれたようだ。 こういった話題が巡りに巡った結果、2023年の誕生日配信では、アニメ版『ハイキュー!!』影山飛雄役を演じた石川界人と、同じく舞台版で演じた影山達也の両名からスーパーチャットが届き、突然のことに「ワタシ、死ぬんか?」と声を漏らしていた。 清楚・可憐・エレガント。こういった言葉やムードには高嶺の花としてのイメージや一種の近寄りがたさがまとわりつくが、そういったイメージもかなり無くなった。こうして実際の配信で語るところをおいかけてみるとかなり自然体で配信をおこなう人物なのがわかる。 そんな彼女は2024年6月現在、長期間にわたって体調がすぐれない状態がつづいていたとのことで、配信活動を休止・療養している最中にある。しかし、活動に復帰した際には、あの微笑みとともにファンの心も癒やしてくれるはずだ。