バイデン米政権、半導体の対中輸出規制を強化 140社を対象に追加
米商務省は2日、中国向けの先端半導体の輸出規制の強化策を発表した。次世代の軍事システムや人工知能(AI)に活用できる先端半導体について、中国での開発を遅らせる狙いがある。 米政府は今回、規制対象となる企業リスト「エンティティーリスト」に、中国の半導体関連企業など新たに140社を加えた。 また、先端半導体の製造装置やソフトウェアの輸出規制を強化したほか、高速でデータ処理ができる「広帯域幅メモリー」でも新たな規制を打ち出した。米国の規制は外国企業も対象となるが、米国と同等の規制があるとして、半導体製造装置メーカーの東京エレクトロンを抱える日本や、露光装置メーカーASMLを抱えるオランダなどは対象外となった。 レモンド商務長官は声明で、新たな規制強化策について「我々の安全保障を脅かす先端技術の国産化を防ぐため、焦点を絞ったバイデン政権の取り組みの集大成だ」と述べた。 軍事や安全保障を左右するAI技術が進化するなか、米国は中国の先端技術の内製化を阻む方策を進めている。バイデン政権は2022年、先端半導体や製造装置の中国への輸出を原則禁止する規制を開始。その後、AI向け半導体でも規制を強化してきた。 これに対し中国商務省は報道官談話を発表し、「(今回の措置は)中国と第三国の貿易に強引に干渉するものであり、典型的な経済的脅迫行為であり非市場的なやり方だ。米国は安全保障の概念を拡大し、輸出管理措置を乱用し、一方的ないじめを実施している」と米国を非難。その上で「中国は自国の正当な権利と利益を断固として守るため、必要なあらゆる措置をとる」と主張した。(サンフランシスコ=五十嵐大介、北京=鈴木友里子)
朝日新聞社