〈メイドイン東京のパンを世界へ〉地域とも密着するパン屋「ポワンエリーニュ」
新丸ビルの地下1階にある「ポワンエリーニュ」。レストラン併設のパン屋さんです。オープンは2007年。私も東京・丸の内を活動拠点にしているので、「美味しいパン屋さんだ」という評判は聞いていました。20年には、神田錦町に2号店を出します。隣町である淡路町にも私の活動拠点があるので、この情報はすぐに耳に入ってきました。 【写真】ポワンエリーニュ「パン」 ポワンエリーニュのパンリスト 早速訪ねてみると、この界隈の老舗カレー屋さんや世界的なアウトドアアパレルメーカーなどとコラボレーションした商品を開発しているので、驚かされました。こんなに短期間で、地域と密着できるのはなぜか? 「まちづくり」を生業にしている私は、パンよりもむしろ、それが知りたいと思いました。すると、共通の知人がいることが分かり、仕掛け人と会うことができました。それが、柏木貞臣さんでした。 ポワンエリーニュはその後、八重洲、神楽坂にも出店して4店舗体制となりました。取材をさせて頂いたのは、東京ミッドタウンの1階にある八重洲店です。入り口には、製粉機が鎮座していて、通路にはレストランで使う薪が積んであります。 「ミッドタウン八重洲の中に入居しているこども園の子どもたちも見学に来てくれます」(柏木さん) 丸の内と八重洲は東京駅の東西自由通路を挟んですぐですが、こんな近くに出店して違いはあるのでしょうか?
「ポワンエリーニュは、パンをつくって売るだけではなく、メイドイン東京のパンを世界に発信するというコンセプトで立ち上がりました。丸の内と八重洲では、その発信するパンのスタイルが違うのです。 丸の内は1号店ということもあって、東京駅の手土産としても喜ばれる華やかなパンを意識しています。例えば、表皮・胚芽を除いた胚乳のみを使う白い小麦粉でバターを贅沢に使ったパンなどです。 一方で、八重洲では表皮・胚芽も含む全粒粉、おコメでいうと玄米のような小麦粉を使うなどして、日常に寄り添う滋味深いパンを楽しむことができることをテーマにしています。 食パンはアメリカ、バゲットはフランス、ピザはイタリアだとすると、これらを上手くエディットして、新しいことができるのが東京だと思います」