「Geminiには10年のロードマップがある」 ピチャイが語った生成AI戦略
2024年のGoogle I/Oは、同社の生成AI「Gemini」づくしとなった。その背景にはどのような戦略があるのだろうか? 【全画像をみる】「Geminiには10年のロードマップがある」 ピチャイが語った生成AI戦略 先週、グーグル本社で同社のSundar Pichai(スンダー・ピチャイ)CEOをはじめとしたエクゼクティブメンバーが記者の質問に答えるセッションが開かれた。 ピチャイ氏の回答や基調講演での発表、独自取材で得られた情報などを加味して、4つの領域について解説する。
その1:Gemini戦略「AIは人類が取り組む最も重要な技術の1つ」
今回のGoogle I/Oで発表された製品・技術のほとんどはGeminiをベースに作られている。 Geminiを含むAI技術について、ピチャイCEOは「人類が取り組む最も重要な技術の一つ」と話す。同社はGemini開発以前より、長い期間をかけてAI技術の開発を進めている。 OpenAIを含む新興勢力の動きも激しいが、ピチャイCEOは自信を崩さない。 「Geminiを製品全体のイノベーションに投入しており、今後驚くような進化が待っている。我々は(業界内でも)良い位置につけている。数十億人の生活に変化をもたらす形で展開を進める」(ピチャイCEO) 競合であるOpenAIについて問われると、「日々の出来事に一喜一憂するのではなく、長期的な視点を持つことが重要。他社のイノベーションは歓迎すべきことで、業界全体の発展につながる」と話した。 「大胆さと責任のバランスを取ることが重要だ。20億人のユーザー製品に展開している立場であり、責任を持って投資することで、より速く進歩できる」(ピチャイCEO) 特にグーグルの特徴として、スマートフォン向けOS「Android」を持っていることが挙げられる。スマホに(密結合する形で)生成AI、特にクラウドでなく機器内で動作する「オンデバイスAI」を組み込んでいくことは、現状グーグルだけが持ち得る独特の立ち位置だ。 オンデバイスAIを使うことでデータをクラウドに収集する必要がなくなるので、利用者のプライバシーを守ることも容易になる。 モバイル向けOSとオンデバイスAI版のGeminiの組み合わせについて、ピチャイCEOは「非常に大きな可能性がある」と自信を見せる。 「電話の中でなにをしているのかを(プライバシーを維持した形で把握し、利用者を助けるアシスタントを作れる。可能性は無限大だ。 私の手元には、開発チームに指示すべき10年分のロードマップがある。我々の仕事はもっと忙しくなりそうだ」(ピチャイCEO)