「映画業界はお金がないと言うけれど…」映画好きこそ“縦型ショートドラマ”に参入すべき理由は? 作り手が語る【後編】
若年層を中心に爆発的な人気を誇る縦型ショートドラマ。「#ショートドラマ」が付いた動画の総再生回数は727億回を超え、『TikTok上半期トレンド大賞2024』では大賞を受賞するなど大きな話題を呼んでいる。そこで本誌は、総再生回数11億回を誇るこねこフィルムへの取材を敢行。後編では、演出面での工夫やキャスト・スタッフへの思いを伺った。(取材・文:司馬宙)
「数字を持ってる人」を作ってしまえばいい
―――こねこフィルムの作品には、半田周平さんや赤間麻里子さん、大迫茂生さんなど、すでにバイプレイヤーとして評価を確立している役者さんが多く出演されています。俳優部の皆さんは、三野監督が選ばれたのでしょうか。 龍一「赤間さんと半田さんは、元々『鬼が笑う』という作品でご一緒して、今回お声がけさせていただきました。大迫さんは、オーディションで来ていただいて、僕らで選んだという形ですね」 ―――俳優の皆さんは、基本的に本名で出演されていますが、この演出にも意図があるのでしょうか。 龍一「顔と名前を世間に覚えてもらいたいというのが第一ですね。僕はこれまで、何本か映画を作ってきましたが、キャスティングでいつも頭を悩ませていました。僕としては、『うまい役者』を起用したいのに、世間的には、どうしても、『数字(知名度)を持ってる人』の起用が求められる。 だったら、僕らが『うまい役者』のファンを増やして、『数字を持ってる人』を作ってしまえばいいや、と」 ―――逆転の発想ですね。 龍一「そうですね。僕らとしては、自分の作品に出てくださる役者さんを何より大切にしたいと思っています。彼らが、役者一本で食べていけるようにするというのも、こねこフィルムを設立した一つの理由ですね」 ―――世間の反応はいかがですか。 龍一「回り道ではありますが、着実に高まっていると思います。特に、『年齢確認』でバズった赤間さんは、認知度が一気に高まっていて、次のお仕事にもつながっているようです」