70代高齢者より10代のほうが食べ物を噛み切れていないという衝撃の事実。ろうそくの火を吹き消せない子どもも…口の老化は高齢者の問題だけじゃない
口の強化 #3
固いものより柔らかものを好む、鼻呼吸ができない……など若い世代や子どものあいだでも口の老化が懸念されている。 【関連書籍】『食事でムセる かみ切れない 口臭が気になる人のための口の強化書』
子どもの口の機能が衰えていないかチェックする方法について、照山裕子氏著、監修來村昌紀氏の『食事でムセる かみ切れない 口臭が気になる人のための口の強化書』(アスコム)より一部抜粋・再構成してお届けする。
「口の老化」は高齢者だけの問題ではない
しかし、実際のところ、わたしたち日本人はどのくらい口の機能が弱っている状態、つまり「オーラルフレイル」になっているのでしょうか? 最近の調査結果で、口腔機能の実態があきらかになってきました。日本歯科医師会による、全国の15歳から79歳の男女1万人を対象に実施した「歯科医療に関する一般生活者意識調査」(2022年)の項目において、「滑舌が悪くなることがある」「ムセやすい」「食べこぼしをすることがある」など、口腔の機能不全が疑われる6つの症状を経験したことがあるかどうかを質問したものがあります。 その結果は、基本的には年齢が高くなるとともに、これら6つの症状を経験したことがある人が増えています。 下記にまとめたグラフを見ていただくとわかるように、意外にも10代、20代の数値の大きさが目立っているのです。
10代は70代よりも、食べ物を〝噛み切れていない〞
特に10代は、「口のなかが渇きやすい」以外のすべての項目で、20代や30代よりも数値が高くなっています。 さらに「口のなかが渇きやすい」「ムセやすい」をのぞけば、40代よりも高くなっているのです。 なかでも、「滑舌が悪くなることがある」と回答したのはなんと30.3%で、これは60代に匹敵する数値です。 また、20代も26.5%と、50代とほぼ同じ数値でした。 また、口腔の機能不全が疑われる症状を経験しているのは、10代で48.3%、20代で40.6%と、半数近くの人が、なんらかの症状を経験していることもあきらかになりました。 さらに、10代は「噛む力」も未発達の傾向があり、ふだんの食事について聞いたところ、「かたい食べ物よりやわらかい食べ物が好き」が53.6%、「かたい食べ物を食べるときに噛み切れないことがある」40.3%と、全年代のなかで最多となりました。 これはつまり、10代は70代よりも、食べ物を〝噛み切れていない〞実態があきらかになったというわけです。 加えて、「食事で噛んでいるとあごが疲れることがある」と答えた10代は48.3%で、70代のなんと2.7倍にも上り、若年層の口腔機能の発達が不十分な疑いを表す結果になっているのです。 もちろん、調査からわかるのは決して若年層だけの問題ではなく、基本的な傾向としては、年齢とともに口の機能が衰えていくという事実です。 そして、「噛む力」は高齢になったからといって急激に衰えるものではなく、徐々に衰えていくものです。 高齢者はもちろんのこと、この世代になる前の人たちも、「4つの口の力」を鍛えていくことで、「口の老化」を予防する必要性があるといえるでしょう。