【解説】「3000円の誕生日ケーキで名前違う…丁寧な口調で1億円要求」はカスハラ! “消費者の自覚”が被害防止の第一歩か
客による暴言などの迷惑行為「カスタマーハラスメント」いわゆる「カスハラ」について、22日午前、労働界、有識者、東京都などにより開かれた検討部会が全国初のカスハラ防止条例制定にむけ提言を取りまとめた。
何がカスハラにあたるのか
カスハラは客が従業員に対し暴言を吐く、過度な要求を繰り返す、などの迷惑行為で、被害を受けた従業員が、自殺に追い込まれたケースもあり社会問題となっている。 会議では、カスハラを(1)就業者の人格、又は尊厳を侵害する、(2)就業環境を害する、(3)業務遂行と心身の健康に重大な影響を及ぼすもの、と定義。 カスハラにあたるか否かの具体例として「3000円で購入した子どもの誕生日ケーキに記された名前が間違っていた」場合をあげた。 カスハラに該当するケースとしては、(1)店員の胸ぐらをつかみ、1億円を要求すること、(2)丁寧な口調で1億円を要求すること、(3)店員の胸ぐらをつかみ3000円の返金を要求すること、としている。 一方、(4)丁寧な口調で3000円の返金を要求すること、は原則としてカスハラに該当しない、としたが、「状況によってカスハラに該当する場合も」とも付記しており、ここにもカスハラ認定の難しさがにじむ。
罰則無しで実効性は? 警察に通報できる?
会議では、条例には罰則をおかないことが適当との意見で一致した。 これではカスハラ防止の実効性はないとも思えるが「警察に通報できるとと周知するだけでも効果が期待できる」としている。 とはいえ、カスハラは民間同士の場合が多いので「民事不介入」として警察が関与できないのではないか、とも思える。 しかし会議では、警視庁の担当者から「通報等があったら現場に行き、刑法に触れる場合は適切に対処する。直ちに犯罪にあたらない場合でも、その後の犯罪発生防止の観点から状況に応じた対応をとる」と柔軟に対応する旨の発言があった。 しかし、警察に通報するか否かの判断を全て現場に任せるのも酷であり、わかりやすい基準を示す必要があるのではないか。