スルメイカ不漁...海のデータをリアルタイムで活用した新たなイカ漁【WBSクロス】
実際に作られる海洋モデル予測では、水温が高い方から赤、緑、青で示されます。海上での高速データ通信を実現したのが、KDDIの「スターリンク マリタイム」。イーロン・マスク氏率いる衛星通信「スターリンク」の技術です。漁師の勘頼みだったイカ漁が一変。最新情報を反映した海洋モデル予測で漁場を決めるようになりました。 それをもとに、この日もイカに適しているという水温14℃の海の中から漁場を決定。日が落ちた頃、イカが光に集まる習性を利用するため、ライトをつけて漁を開始しました。データを使ったイカ漁の成果は? 「今、そこで一匹揚がった」(「濱出丸」船頭の本間正志さん) イカが次々と釣れていきます。その後も更新される最新の海洋モデル予測を確認しながら漁場を決定。確実に漁獲を増やしました。この仕組みは、漁師にとって他にもメリットがあります。 「燃料削減。最短でピンポイントで来られるから一番いい」(本間さん) この事業に参加する3社は定期的に会合を開催。それぞれが漁業のスマート化ビジネスを拡大しています。データを解析するオーシャンアイズは、インドネシアのキハダマグロ漁でも漁場の予測システムを100隻以上の船に提供。観測データをもとに、漁場の潮の流れの速さなどを色分けし、漁に生かしています。 「物理法則に基づいて天気予報と同じように計算をしていく。将来の予測をする」(オーシャンアイズの田中裕介社長) また、通信を手がけるKDDIも京都のトリガイ養殖でIoTの活用を進めています。 「漁業に関してはIoTとかDXが遅れていると言われているので、こういったものをぜひ広げていければなと」(KDDI事業創業本部の今村元紀さん) 現場で漁師と向き合う水産研究教育機構の鈴木さんは、テクノロジーの活用が漁業の未来に繋がると期待しています。 「漁業を取り巻く問題は非常に多く、不漁問題、若手不足、漁師さんの勘に頼っているところがあるので、それを補助できるものとしてはやはり必要ではないかと思う」(「水産研究・教育機構」開発調査センターの鈴木大智調査員) ※ワールドビジネスサテライト