何のために会社をつくったのか? 新生メッセの「あるべき姿」を導き出した「ロールスイッチ」の思考とは?
もう1つは、「社員視点」からの答えでした。キーワードは「成長を提供する」こと。詳細は後述しますが、私たちはアメリカの心理学者であるアブラハム・マズローの「欲求階層説」を基に、経営指針を策定しています。その中で最上級の欲求は「自己超越欲求」、すなわち「成長したい」という欲求です。 もともとは承認欲求すら満たされず、「どうせ私たちなんて・・・」と諦めている人が目立つ会社でしたが、実は根底では、社員の多くが「成長したい」という欲求を持っていることに気づいたので、この枠組みがフィットすると考えました。 そしてチャンス&リスクスイッチを用いて、「私たちはどのような行動を大切にしているのか」を考えました。結論からいうと、「一番でないと生き残ることはできないので、目標は高く設定する」ということを大切にしています。 これには、北関東時代の苦い経験が関係しているのです。 私がメッセに入社した1年後、業界大手の競合他社に勝ちたいという野望のもとに、あえて同社の店舗の目と鼻の先に出店しました。私はそこで店長を務めたのですが、目の前にある競合店は、徹底抗戦の構えです。結果的には激しい闘いの末、私たちはその店舗から撤退することを決めました。 この体験から、一番でないと生き残れないから、目標をもっと高く設定しなければと学んだわけです。 こうして3つのスイッチを用いたことで、次のような考えが見つかりました。 「社員や組織を大切にするべきだということ」 「お客さまに居場所を提供することが、私たちの役割だということ」 「社員がメッセで働くことで、成長を得られるということ」 「何事も一番という目標を掲げることが重要だということ」 これらを経営や日々の業務でしっかり実現できるよう、経営理念に盛り込んでいきました。
宮本 茂/白木 俊行