鬼畜だらけ…実在の猟奇殺人鬼がモデルの映画(5)史上最悪の未解決事件…残忍すぎる犯罪とは?
事実は小説より奇なり。今回は実在する殺人鬼をモデルにした洋画をピックアップ。理解に苦しむ残忍な連続殺人や、思わず同情してしまうような壮絶な生い立ちを持つ犯罪者が続々と登場。映画としての魅力はもちろん、モデルとなった事件についても深掘りして紹介する。今回は第5回。(文・寺島武志)
『ゾディアック』(2007)
原題:Zodiac 製作国:アメリカ 監督:デビッド・フィンチャー 脚本:ジェームズ・バンダービルト 原作:ロバート・グレイスミス キャスト:ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニー・Jr.、アンソニー・エドワーズ 【作品内容】 カリフォルニア州バレーホで若い男女が拳銃で殺害される事件が発生する。1か月後、各新聞社に“ゾディアック”と名乗る犯人から暗号付きの手紙が送りつけられる。警察は必死に犯人を追うが、“ゾディアック”はその後も殺人を重ねる。 “ゾディアック”の行動は過激さを増し、直接、電話をしてきたりとヒートアップしていく。主人公のグレイスミス(ジェイク・ジレンホール)は、サンフランシスコ・クロニクル紙の風刺漫画家だったが、勤め先にも“ゾディアック”から手紙が届いたことがきっかけで徐々に事件にのめり込んでいく。 【注目ポイント】 ゾディアック事件とは、1968年から1974年にかけて、カリフォルニア州サンフランシスコで若いカップルを中心に少なくとも5名が殺害された連続殺人事件。現在も捜査中の、アメリカ犯罪史上最も有名な未解決事件として知られている。 犯行後に警察やマスコミへ多量の犯行声明文を送りつけたことから、「劇場型犯罪」の一つとしても有名である。本作はそんな「ゾディアック事件」を題材にした作品だ。 実際の未解決事件に基づいていることから、サスペンス色は薄く、事件解決に奔走する人々の葛藤や徐々に荒廃していく生活ぶりに重点が置かれている。デビッド・フィンチャー監督は、リアリティを追求するため、この事件の調査に18か月を費やし、捜査官や目撃者、生き残った犠牲者らにインタビューしたという。 1968年から1974年にかけて断続的に行われたゾディアックによる犯行は、それ以降パタリと止むことに。その後もFBIによる大規模捜査が幾度となく実施され、15人以上が被疑者とされたが、いずれも犯行の証拠がなく、逮捕には至っていない。
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