秋の味覚 モクズガニ 富田川で漁始まる、和歌山県紀南
和歌山県田辺市中辺路町などを流れる富田川で、モクズガニ(モクズガニ科)の漁が始まった。高級食材で知られる上海ガニ(チュウゴクモクズガニ)と近縁関係にあるカニで、秋の味覚として親しまれている。 【モクズガニの動画はこちら】 モクズガニの漁は、魚のあらなどを入れた籠を川底に仕掛けて捕獲する。富田川漁協では稚ガニを放流するなどして資源を守っており、漁期は9月1日~12月末。捕獲には遊漁料として年券3300円が必要。 同漁協の理事でもある山中勝治さん(71)=中辺路町栗栖川=は今年、10日ごろから漁を始めた。18日の朝、前日の夕方に仕掛けた二つの籠を引き上げたところ、小さい個体を逃がした上で、最大で甲羅の幅が7・5センチほどあるモクズガニ9匹を捕獲した。山中さんは「今年も秋の味覚を味わうことができてありがたい。塩ゆでしたカニは酒のあてに最高」と笑顔を見せた。 県立自然博物館(海南市)によると、モクズガニははさみに黒い毛がびっしりと生えているのが最大の特徴。最大で甲羅の幅が10センチほどになるとされる。 国内では北海道から琉球列島、小笠原諸島に分布。寿命は3~6年とされ、成体は河川の淡水域から汽水域まで広く生息する。 県内では9~11月ごろに海へ下り、春ごろまでに産卵した後、死ぬ。ふ化した幼生は海域で分散してから河口域へ入り、稚ガニが河川を遡上(そじょう)するという。
紀伊民報