欧州議会「右傾化」は、EUの主要政策にどのような影響を与えるのか
9日に投票が終わった欧州連合(EU)欧州議会選挙で、EUの政策に懐疑的なナショナリストのグループが議席を拡大する一方、親EUの主流会派の勢力が後退し、全体として「右傾化」する見通しになった。今回の選挙結果を受けて、EUの主な政策のうちどのような点に変化が現れるのか――ロイター欧州問題担当編集者アンドリュー・グレイが解説する。 <右傾化> ロイター欧州担当編集者 アンドリュー・グレイ 「まず第一に、極右が欧州議会で議席数を増やした。おそらく約4分の1がさまざまな極右政党の議員で占められるだろう。今後の焦点は、彼らが欧州議会でどのような影響力を発揮するかだ」 <フランスで突然の総選挙> 「第2にこの結果を受けて、フランスで新たな選挙が行われることになったフランスのマクロン大統領は、国民議会(下院)を解散した。同大統領率いる中道政党『再生』は極右に大敗した。フランスで極右の政府が誕生するか、つまり極右『国民連合』のルペン党首と、議会選後も大統領職にとどまるマクロン氏の共存はあるのか、注目される」 <気候変動対策は困難な状況に> 「EUは炭素排出量の削減に関して、非常に野心的な目標を掲げている。だが一部は見直しの対象となるだろう。極右がこれらの政策の一部に影響力を行使し、場合によっては政策効果を弱めることがあるかどうか注目される」 <ウクライナ支援> 「ウクライナ支援に関しては、直ちに影響が出ることはないだろう。これは主に加盟各国政府の問題だ。しかしEU加盟国に防衛プロジェクトでの協力を深化させ、防衛装備品への支出拡大を働き掛けようとする動きがある。ここでも極右が、何らかの影響力を及ぼすかどうかに関心が高まっている」