「自分はもう2枚目なんやろうなって…」阪神2位・今朝丸裕喜に“エースナンバーを奪われた男”「ライバルで親友」間木歩の決意「4年後のドラフトは…」
ドラフト会議で阪神から2位指名を受けた「今季高校No.1投手」の呼び声も高い報徳学園の今朝丸裕喜。実は今朝丸には、同じチームに1年時から切磋琢磨を続けた“親友”で“ライバル”でもある選手がいる。名を間木歩という。その間木が振り返る、今朝丸との高校生活で感じた「葛藤と決心」とは。《全2回の2回目/最初から読む》 【現地写真】「こ、これはエモい…漫画みたい」阪神に2位指名された今朝丸に花束を渡す“ライバルで親友”間木の表情…U18日本代表での仲良し焼肉ショットや甲子園での2人の熱投の様子も見る ドラフト会議で阪神から2位指名を受けた“高校No.1投手”の今朝丸裕喜。高評価の一方で、実は報徳学園では同級生右腕の間木歩と“二枚看板”と言われ続けてきた。
いつのまにか「二枚看板」に生まれた“差”
1年時から同レベルで高め合ってきたその間木が、今朝丸との差を感じはじめたのは3年生の夏前のことだったという。 「5月から6月の練習試合は三つ巴(※3校による変則ダブルヘッダー)の試合が多かったんです。でも1試合目の先発は必ず今朝丸で、自分は2試合目。自分はもう2枚目なんやろうなと思うようになって。今朝丸が本格的に頭ひとつ抜け出してきて、それでも自分と比べられて。でも、自分はキャプテンもやっていないですし、劣等感というか、そういうのはありました。夏の(兵庫)大会前くらいですかね。気持ちが結構不安定になっていて……」 練習試合では連日多くのNPBスカウトがネット裏に詰めかけ、今朝丸がマウンドに立つと、構えるスピードガンには「145」「147」といった数字が立て続けに表示された。 「大事なのはストレートだ」 そう思い込み、間木も負けまいと球威アップに取り組んだ。 だが、急にスピードにこだわったところですんなり球威がつく訳がない。実際「そこまでスピードは上がらなかったです」と間木は苦笑いする。 では、どうすればいいのか。試行錯誤の日々が続いた。 「いつのタイミングかは覚えていないですけれど、真っすぐを捨てて変化球で勝負しようと思ったこともありました。でも、うまくいく訳もなくて。自分はネガティブなタイプなので、どうしても悪い方に、悪い方に考えてしまって」 感情が表に溢れ出ないようにはしていた。だが、時には抑えきれずに爆発することもある。 「その時に思った愚痴を遠征の移動のバスの中で大きい声で話したら、バスに監督も部長も乗っていて、ちょっと気まずい空気になったことが一度だけありました」 ぐんぐんと成長を遂げ、ドラフト上位候補と言われるまでになったライバルに対しては、危機感を抱くよりも「むしろ諦めモードでした」と間木は言う。 実際に、夏の大会で背番号「1」をつけたのは今朝丸だった。 それに対し、自分は長らく背負ってきた背番号1でもなく、キャプテンでもない。これから自分はチームの中でどういう立ち位置で投げていけばいいのか? ただ、葛藤こそあったが、今朝丸の成長はライバル目線で見ても素直に褒め称えるところしかなかった。 「今朝丸は、真っすぐをコーナーに決められるところが凄いです。元々は自分の方が圧倒的にコントロールに関しては自信があったんですけど、最近は自分の方が負けているんじゃないかって思うくらいで。(夏の県大会決勝で5安打完封した)明石商戦がそうでした。あの威力の真っすぐをコーナーに投げ切れるんですから。 大学日本代表相手の試合でも物おじせず、力まずに投げられていましたよね。西川(史礁・青学大)さんの時だけはちょっと力んでいましたけれど、それ以外はいつも通りでしたよ」
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