【MLB】 ヘソン獲得のドジャース ラックスのトレードの可能性は? GMは否定的なコメント
日本時間1月4日、ドジャースは韓国球界からポスティングでメジャー挑戦を目指していた金慧成(キム・ヘソン)と3年契約を結んだ。ドジャースは既に二遊間に潤沢な人材を抱えていたが、その中でキムを獲得したことによって、今季の起用法・トレード戦略に変化がもたらされるかもしれない。 【特集】2024年オフシーズンの移籍情報まとめ
25歳のキムは二塁をメインに遊撃、三塁、左翼を守れる守備力、直近4シーズン連続で打率3割超えのシュアな打撃、KBO通算210盗塁の脚力に高い評価を得るタレントだ。ドジャースはポスティング期限直前になってキムと3年1250万ドル(最大5年2200万ドル)の契約を締結。アジア球界から再び若き才能を確保した。 ここで問題になるのが、二遊間の出場機会をどう分け合うのかだ。ドジャースの二遊間には、遊撃に再挑戦するムーキー・ベッツ、ギャビン・ラックス、外野もこなせるトミー・エドマン、ベテランのミゲル・ロハス、クリス・テイラーがいる。キム獲得前までは、遊撃にベッツ、二塁にラックス、中堅にエドマンが基本布陣と考えられていた。 しかし、キムを獲得した今、この布陣に変更はあり得るだろうか。特に二塁手の新規獲得は、オフシーズンの間トレードの噂が囁かれていたラックスの去就に影響を及ぼす可能性がある。 27歳のラックスは膝の怪我から復帰した昨季、総合指標fWAR1.5とレギュラーとしてはやや物足りないシーズンを送った(WARでは平均的なレギュラーの目安は2.0と言われている)。昨季は開幕前まで遊撃のレギュラーと目されていたが、開幕直前に二塁へコンバートされ、二塁でも守備指標OAAは-4と平均以下のパフォーマンスだった。OPS.703は決して悪い数字ではないが、トッププロスペクトとして期待されていたことを考えれば、いささか燻っている感も否めない。キムの獲得によって、契約が残り2年のラックスをトレードし、補強ポイントであるリリーバーを獲得するのは一見理に適っているようにも思える。 しかし、ドジャースのブランドン・ゴームズGMはきょうのコメントで、トレードの可能性を否定した。ゴームズは「本当に才能のある選手を加入させて、その後どうなるつもりか見るつもりだ」とコメントし、あくまでキムをデプスとして加えただけであると示唆。遊撃ベッツ、二塁ラックスの基本布陣は変わらず、キムはスーパーユーティリティとして起用されることを明かしている。 確かにキムを獲得したからといって、ラックスをすぐさま放出し、キムを二塁のレギュラーに据える(テイラー、ロハスとプラトーンを組む)のはいささか性急すぎるだろう。キムの打力がメジャーで通用するかは評価が別れており、それが保証額3年1250万ドルという相場より低い額での契約に繋がっている。ラックスは依然として平均レベルの攻撃力を有しており、昨季以前は二塁で平均以上の守備力を発揮していた。実績、実力においてラックスは明らかにキムを上回っている。 今回のキムの補強はドジャースがいかにデプスの整備、ロスターの柔軟性にこだわっているかの証左だ。キム獲得以前も二遊間には実績あるレギュラー候補がおり、ベンチにもベテランのユーティリティがいたドジャースだが、さらなるデプス改善を目指してキムと契約した。 キム獲得によって、ドジャースは現状、控え捕手以外のベンチメンバーにテイラー、ロハス、キムを置いて開幕することが予想される。高い守備力を誇るロハス、ユーティリティのテイラーとキムに加えて、レギュラーのベッツ、エドマン、ラックスも内外野をこなせる。ロスターの柔軟性を高めることで、仮に故障者が出たとしても、多様なスターティングメンバーを組んで対応できるだろう。若手のジェームズ・アウトマン、アンディ・パヘスはマイナー開幕が現時点では予想されるが、それによって万が一のためのデプスはより万全なものとなるはずだ。 大谷翔平、ベッツらを筆頭にスター軍団のイメージもあるドジャースだが、このような石橋を叩いて渡るようなデプス整備も強さの秘訣と言えるだろう。