水原一平氏の「違法賭博問題」が大谷翔平を揺るがす事情
1950年代後半から華々しい活躍をして九州の人気球団となった西鉄ライオンズだが、この事件から低迷し、1973年には太平洋クラブに身売り、1979年には西武ライオンズとなり、本拠地を福岡県から埼玉県に移転するに至る。 プロ野球の「黒い霧事件」と言われたこの事件以降、NPBも「野球賭博」そして反社会勢力と選手の接触に厳しい目を光らせることになる。 2016年には、読売ジャイアンツの選手が関与した「野球賭博事件」が発覚した。前年オフに巨人の練習施設に、ある人物が「野球賭博で負けた借金」を取り立てに来たことから事態が発覚。賭博に関わった巨人の福田聡志、笠原将生、松本竜也の3選手が契約解除され、高木京介が失格処分となった。また巨人の球団代表も引責辞任した。
「黒い霧事件」以来、47年ぶりの大スキャンダルだった。この事件を機に、NPBと各球団は「再発防止策」を強化した。現在では新入団選手はNPBや球団の講習で「野球賭博」などの「有害行為」についての講習を受けることになっている。 こうした野球賭博、八百長事件は韓国プロ野球(KBO)や台湾プロ野球(CPBL)でも起こっている。特に台湾の場合は、2008年、球団ぐるみの八百長事件で、米迪亜ティー・レックスが、球団ごと永久追放されるなど、大規模な八百長、野球賭博事件が何度も起こり、それが台湾プロ野球発展の最大の阻害要因になっていた。今では台湾政府の総督府が後ろ盾になり、CPBLを盛り立てている。
■アメリカでは盛んな「スポーツベッティング」 野球は人気スポーツだけに、賭けの対象になりやすい。また人気選手には、常に反社会勢力が接近しようとする。野球賭博、八百長の誘惑は、プロ野球界には常に存在している。しかし、野球賭博が一度発覚すると、野球界は回復不能なほどのダメージを負うことになるのだ。 アメリカでは「スポーツベッティング(合法の賭博)」が盛んだ。特にMLBは「ファンタジーベースボール」というシミュレーションゲームが盛んで、数百万人の愛好者がいるとされる。このゲームは、参加者がオーナーの立場で実際の選手を獲得し、実際のペナントレースの動向に従って成績が決まり、一喜一憂する。MLB公式サイトでもこのゲームの愛好者向けに情報提供をしている。