水原一平氏の「違法賭博問題」が大谷翔平を揺るがす事情
MLB史上最大の危機は、初代コミッショナーのランディスと、ベーブ・ルースによって救われたと言ってもいい。 以後「野球賭博」は、MLBにとって最も忌むべき行為として、厳しく処断されることとなった。 ■永久追放処分を受けたピート・ローズ MLB最多の4256安打を打ったピート・ローズは「ビッグレッドマシン」と言われた強豪、シンシナティ・レッズの大スター選手であり、日本にもやってきて日米野球では、王貞治や野村克也ともプレーした。
しかし引退後の1989年、ローズが永年野球賭博に関わっていたことや、その中に自分が監督を務めたレッズの試合が含まれていたことが発覚。当時のバート・ジアマティコミッショナーによって永久追放処分を受けた。 以後、何度か処分の解除の話が出たが、今に至るもローズは追放されたままだ。 さらに2015年になってESPNによって、ローズが選手時代から野球賭博に関与していたことが明らかにされた。これもあって、MLB史上最も安打を打ったピート・ローズは今に至るも「野球殿堂入り」していない。
2016年5月、イチローが日米通算でローズの安打記録を抜いたときには、ローズは日本メディアのインタビューに応えたが、経済的に苦しいような印象を受けた。イチローは来年のMLB殿堂入りが確実視されているが、ローズの殿堂入りは4月に83歳になる今も依然として絶望的だ。 ローズの例でもわかるように、MLBは「野球賭博」に対して極めて厳しい処分を下しているのだ。なおESPNは、今回の事件でも、水原氏に最初にインタビューをするなどスクープを連発している。忖度も容赦もない報道が基本姿勢だ。
■日本でも「野球賭博」は大きなトラウマ 実は日本でも「野球賭博」は大きなトラウマになっている。1969年、西鉄ライオンズの投手、永易将之が、野球賭博に関わる暴力団に脅され「敗退行為(八百長)」をしていたことが球団の内部調査で発覚する。 そしてこの年10月に読売新聞と報知新聞がスクープ。球団は記者会見を開いてこれを認め、幕引きを図ろうとするが、週刊ポストなどの後追い報道もあって、事件はさらに大ごととなり、最終的には永久追放6人を含む19人が処分される大事件となった。