さっきトイレに行ったばかりなのに…【更年期世代に多い、尿漏れの原因とは?】今すぐできる3つの対策
「大人なのにちびってしまった…!」「さっきトイレに行ったばかりなのにまた行きたい」実は尿もれや頻尿に悩んでいる女性はとても多く、決して珍しいことではありません。女性の場合、妊娠や出産がきっかけになったり、更年期にも起こりやすくなります。今回は更年期からの頻尿や尿もれの原因と、それに対する対策とケア方法をご紹介します。 ◆写真で詳しいやり方を見る|更年期世代に多い、尿漏れの原因とは?今すぐできる3つの対策 ■更年期から増える「頻尿」「尿もれ」 更年期に入るころから、「近頃トイレが近くなった」と感じたり、「さっきおしっこに行ったばかりなのに、また行きたい」「くしゃみをしたら尿が出てしまった」といったことが増えていないでしょうか。 尿に関するトラブルを抱える更年期の女性は少なくありません。尿もれについては、40歳以上の女性の約4割が悩んでいるとされます(日本泌尿器科学会 調べ)。女性の場合、妊娠や出産をきっかけになるほか、更年期(閉経の前5年、後5年の合計10年間のこと。45~55歳ごろ)にもよく見られるようになります。 更年期に多い尿トラブルが「頻尿」と「尿もれ」です。 ●何度もおしっこが出る「頻尿」 多くの人が年齢とともにトイレに行く回数が増えることがあります。なかには、日中だけでなく夜中にもトイレに行きたいと感じる方もいるでしょう。これを「頻尿」と呼びます。一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を指します。ただし、それ以下の回数でも、排尿回数が多いと感じる場合は頻尿だとされます。 頻尿の中で最も多い原因は「過活動膀胱」です。尿が膀胱に十分たまっていないのに、突然強い尿意を感じてトイレに何回も行くようになります。過活動膀胱に悩まされているのは、男女あわせて1,000万人以上いるともされます。 ●何かのきっかけでおしっこがもれてしまう「尿もれ」 自分の意志とは関係なく尿が出てしまうのが尿もれ(尿失禁)です。 なかでも多いのが、おなかに力が入ったときに尿がもれる「腹圧性尿失禁」。重い荷物をもちあげたり、くしゃみや大笑い、ジャンプをしたりしたときに尿もれが起こるものです。女性の尿失禁の原因で最も多く、週1回以上腹圧性尿失禁が起こる女性は、500万人以上もいるとされています。妊娠中や出産後に起こりやすくなるほか、更年期以降にも増えます。 ■尿トラブルの原因は骨盤底筋の緩みと女性ホルモンの低下 尿もれ、頻尿の原因は大きく2つあります。骨盤底筋の緩みと、女性ホルモンであるエストロゲンの低下です。 骨盤底筋は、膀胱や尿道など腹部の臓器を支えるハンモックのような筋肉です。骨盤底筋は膀胱を支え、尿道を締める役割がありますが、この筋肉が緩んでしまうと尿もれしやすくなります。 また、更年期からエストロゲンが低下すると、膀胱の粘膜が薄くなったり、筋肉量が減少することがあり、これも頻尿や尿もれの原因となります。 しかし、骨盤底筋は筋肉ですから、トレーニングによって強化できます。つまり、改善が可能なのです。 ■骨盤底筋含めた骨盤周りの筋肉を鍛える簡単トレーニング ここからは対策ケア方法を見ていきましょう。1つ目が、骨盤庭筋のトレーニングです。今回は、骨盤底筋だけでなく、骨盤周りの筋肉を丸ごと一気に鍛える簡単な方法を紹介します。 ①かかとどうしをくっつけて立つ。足先は90度以上、しっかり開く。 ※ただし、脚の痛みがある人は無理のない範囲で開くようにする。 ②かかとどうしを付けたまま、約10cmかかとを上げる。ゆっくりと下ろす。 ※ふらつくときは壁やいすにつかまって行ってもよい。 ③ ②を10回繰り返す。 簡単な運動ですが、太ももの内側、お尻、脚全体、体幹の筋肉を使っていることが感じられます。信号の待ち時間や、家事の合間など、隙間時間にぜひ取り入れてみてください。 ■少しトイレに行くのを我慢して膀胱を鍛える 対策ケア方法2つ目は、膀胱のトレーニングです。過活動膀胱によって、尿が十分膀胱にたまっていないのに頻繁にトイレに行く習慣がつくと、膀胱のもつ尿を蓄積する力が低下し、尿を少ししかためられなくなります。そこで、排尿を少し我慢することで膀胱を鍛えていきましょう。 おしっこに行きたいなと思ったら、まずは5分我慢してみます。慣れてきたら8分、10分、15分…と、無理のない範囲で少しずつ我慢する時間を長くすることで、排尿と排尿の間隔を長くしていきます。 ■頻用を引き起こすカフェイン、アルコールを控える 対策ケア方法3つ目は、飲み物に注意することです。 排尿を促す代表的なものが、カフェインです。カフェインは、交感神経を刺激して排尿をうながします。カフェインを多く含む飲み物、例えば、コーヒーや緑茶、コーラ、エナジードリンクは要注意です。 また、お酒も頻尿を招く原因となります。私たちの体は、保持しておくべき水分量をコントロールしています。しかし、アルコールが体内に入ると、体の水分を適切に保持できなくなり、トイレに行く回数が増えてしまいます。 これらの飲み物を多くとっている場合は、控えるようにしてみましょう。 ■改善しない場合は泌尿器科を受診 こうした対策を試しても改善しない場合は、泌尿器科を受診することをおすすめします。尿トラブルを引き起こす病気が隠れている可能性もあるため、その場合は治療によって症状が改善するかもしれません。 尿トラブルは、恥ずかしさで一人悩むことも少なくありません。ただ、多くの人が経験する症状でもあります。適切な対策と、場合によっては受診して治療を受けることで、改善する可能性もあります。まずは自分ができる対策から取り組んでみましょう。 ライター/永田京子 NPO法人 ちぇぶら代表理事、更年期トータルケアインストラクター 1,000名を超える女性たちの調査や医師の協力を経て “更年期対策メソッド”を研究・開発・普及。口コミで広まり、企業や医療機関など国内や海外で講演を行い述べ3万人以上が受講。2018年カナダで開催の国際更年期学会で発表。
永田京子