フェラーリ、ル・マン連覇も「勝てるとは思っていなかった」。トヨタと白熱トップ争いを制する
6月15~16日にかけて行なわれた2024年のル・マン24時間レースは、フェラーリ50号車が勝利。2023年からの連覇を達成したフェラーリだが、レース前には今年のル・マンで勝てるとは考えていなかったと振り返った。 【リザルト】2024ル・マン24時間レース 今年のル・マンは混戦が繰り広げられ、フェラーリ勢を含む多くのメーカーが同一ラップで競い合った。フェラーリ50号車は序盤から先頭争いに加わり、雨によるコンディションの変化に見舞われつつも一貫して勝利を狙うポジションにあった。 終盤にはドラマもあった。50号車はマシン右側のドアが閉められないという問題が発生してしまい、予定外のピットストップを強いられたのだ。しかしそれでも50号車はトヨタ勢を上回り先頭をキープ。最後はギリギリの燃料管理を見事に成し遂げて、2023年からの連覇を達成した。 ただフェラーリは最初から勝てると思っているわけではなかった。彼らはテストやフリー走行、予選での499Pのペースから、さほど大きな期待を持っていたわけではなかったと振り返った。 「我々は有力候補ではないような感覚でここに乗り込んだんだ」 フェラーリのスポーツカーレース責任者であるアントネッロ・コレッタはそう語った。 「日曜日の最初のテスト、そしてFP1、FP2さらにFP3を終えた後、天候の問題や急変、その他の問題などから特別なレースをしないかぎり、我々は勝つことは不可能だと考えていたのを覚えている」 「スタート後、我々には競争力があった。しかし知ってのとおりル・マン24時間レースというのは、1日の時間帯によって状況は変わる。スタートで競争力があったとしても、最後に競争力があるかどうかは定かではないんだ」 「実際、この24時間の中で、たくさんのクルマが首位に立った。我々にとっても状況は複雑なものだったんだ。83号車と51号車は(予選から持ち越した)2つのペナルティがある状態で始めたんだからね」 「その後何度ペナルティを受けたか覚えていないが、かなりあったと思う。そしてドアの問題もあった。だが、2年連続で勝利することができた。とても、とても嬉しいよ」 またフェラーリのスポーツカーレース担当テクニカルディレクターであるフェルディナンド・カニッツォは、ウエット路面ではトヨタが勝っていたものの、ドライ路面ではフェラーリが反撃することができたのだと語った。 「レース前は本当に楽観的にはなれていなかったんだ」と、カニッツォは認めた。 「我々はトヨタに何かで欠けているということは理解していた」 「しかし自分たちの強みも知っていて、我々がすべきことは強みを活かして特にライバルに対して弱点を最小限に抑えようとすることだった」 「重要だったのは、我々が弱点を把握していて、そのギャップを最小限にするために1週間ずっと取り組んできたことだった」 「レース中盤の2度のウエットの部分では、トヨタが間違いなく速いクルマだった。そこに疑いはない。明らかにダウンフォースが多かったし、彼らは素晴らしい仕事をしていた」 「我々のパッケージはドライでは、おそらくトヨタよりも優れていた。特にレーススタート時に周囲の状況から使おうとしていたミディアムタイヤではね」 「レース終盤には、我々はリスクを冒すことに決めた。なぜなら、たとえ天候がミディアムタイヤに最適だとは思わなかったとしても、ギャップを広げたり縮めたりしたいのなら、このカードを切る必要があったんだ」
Rachit Thukral