「想像つかなかった」…サッカー界のポジティブ男・大津祐樹が「銀座・高級腕時計店の取締役に転身」
「まさか自分が″時計屋さん″になるとは、想像もつかなかったですね」 ハイブランド店が立ち並ぶ東京都中央区銀座。高級腕時計専門店「コミット銀座」の真新しい社屋で我々を出迎えたスーツ姿のイケメンは優しく微笑んだ。 【画像】SNSにも度々登場 テレビ朝日アナウンサー・久冨慶子夫人と仲良しツーショット 昨年限りで現役を引退した元サッカー日本代表MFの大津祐樹(34)は今年1月、同社の取締役に就任。まったく別のフィールドを歩み始めている。 両者を繋いだのは大津の「時計好き」だった。プロ入り後、チームの先輩や当時の憧れの存在だったデイビッド・ベッカム(49)がつけている姿に惹かれて高級腕時計にハマり、有名ショップを回るなかで出会ったのがコミット銀座だった。 「店舗の雰囲気も、親身で真剣な接客も最高に心地よくて……。コミットのスタッフの多くが元アスリートと聞いて、快適さに合点がいった。僕はもともと、このお店の大ファンだったんです」 この日、大津がつけていた「ロレックス オイスターパーペチュアル41」も客として購入したものだという。ヘビーユーザーとして店に通うなか、同社の代表と知り合ったことが異色の転身を生んだ。 「引退発表後すぐ、代表に『一緒にやろう』と声をかけていただいて嬉しかったですね。他にもオファーをいただいていたので悩みましたけど、心は決まっていた気がします。コミットがいかに素晴らしいか、僕が一番わかっていましたから」 取締役・大津の主な仕事は会社のPRや成長戦略の考案だが、時間が許せば店頭に立って接客しているという。 「普通にいますよ(笑)。『誰かのためになりたい』というのが僕の軸。『アシスト』という会社を僕が’19年に立ち上げたのも、子供の頃にプロが一緒にプレーしてくれるサッカースクールがなかったから。ないなら自分で作るしかない。子供相手に本気でボールを蹴って、『大人げない』なんて言われますけど、『プロのレベルを体験できて、自分に足りないものがわかった』と好評をいただいています。ユーザー目線で『いいものを伝えたい』というのはアシストもコミットも同じなんです」 実は昨オフの時点でジュビロ磐田との契約は1年残っていたが、大津は「ケガで100%のパフォーマンスを発揮できない自分が残るくらいなら、若手にチャンスを与えてほしい」と前倒しでスパイクを脱いだ。セカンドキャリアに対する不安は「まったくなかった」と断言する。 「不安どころか、やりたいことが多すぎてパニックになるぐらい(笑)。僕はセカンドキャリアという言葉が嫌いなんですよ。アスリートが引退すると、なぜかそれまでの経験やキャリアがゼロになって″何もできない人″になると思われる。そうじゃないんです。大津祐樹のキャリアは引退でゼロにならず、その後も続く。″サッカー期″が終わっただけで、一つのことを極めた経験は次の″ビジネス期″に繋がる。そう確信しているから、僕は不安を一切感じないのかもしれません」 個の力に頼ると、全体のパフォーマンスは低下する。メンバーの個性を理解し、それぞれが得意分野で力を発揮し、チームとして戦うことが勝利への近道――。 前評判の低さをモチベーションに団結し、大津のゴールで強豪スペインを破ったロンドン五輪での快進撃など、サッカー選手としての経験が引退後のビジネスに活きている。大津はそう断言した。 Jリーグでデビューした当初、甘いマスクに茶髪、人懐っこいキャラ、くだけたトークで大津は「チャラ男」と呼ばれた。 「あくまでキャラですけどね。でもそれでメディアに注目されるならそんなおいしいことはない。楽しんで乗っかっていただけ。僕は全てにポジティブなんです」 ’18年に結婚したテレビ朝日の久冨慶子アナ(35)も、「結婚前提で付き合ってくださいと言われた」と後にインタビューで夫の「チャラ男」を否定している。 「仕事について妻と話すことはあまりない。信頼して任せてもらっています。一方で僕にできないことが妻は得意だったりする。そのバランスがとてもいい。『妻の存在には凄く助かっています』。これは、絶対に書いといてくださいね(笑)」 ″脱チャラ男″はいま、日経新聞を片手にオフィスに通う日々を送っている。 「知らないことを知るのは純粋に楽しい。『袋とじが好き』と大きな声では言えませんが、フライデーも読んでますよ(笑)」 グラウンドからオフィスへと戦う場所は変わったが、大津には何か大きなことをやってくれそうな気配が漂っている。 『FRIDAY』2024年7月5・12日号より 取材・文:栗原正夫
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