冬の誘客減に危機感 閉鎖方針の福島県南会津町2スキー場 地域経済どうなる 「存続を」求める声も
福島県南会津町の二つのスキー場が閉鎖される方針が示された13日、町民は「交流人口が減ってしまう」と危機感を強くした。北日光・高畑はパウダースノー、会津高原だいくらは町中心部からの近さが売りで、北関東からの客も多い。道の駅や宿泊施設の関係者は、冬場の貴重な客や施設での売り上げの減少を心配する。閉鎖の見通しが示された町議会全員協議会で一部の議員からは、存続を求める声が上がった。 だいくら、高畑の両スキー場の中間にある南会津町の道の駅きらら289はスキーヤーが立ち寄るスポットだ。温泉施設やレストランがあり、冬の週末は利用者の8割近くをスキー客が占める。駅長の酒井良男さん(52)は「館内の売り上げ減だけではなく、スキー施設の雇用を含めると、地域経済に及ぼす影響は大きい」と憂慮する。 だいくらの近くで約30年営業している宿「会津六名館」の瀬田恒夫さん(67)は「以前は多くのスキー客で地域がにぎわったので、閉鎖は寂しい」と惜しむ。提供する食事の充実やインバウンド(訪日客)の受け入れに力を入れてきており、「スキー場だけに頼らない経営をしていきたい」と前を向いた。
雪の多い地域にとって、スキー場は冬の観光の中心。閉鎖となれば民宿や物販店などの経営に響く。南会津町観光物産協会の猪股裕一会長は「重く受け止めている。情報発信を強化して地域の観光を何とか盛り上げていきたい」と対応を急ぐつもりだ。 だいくらではアルペンスキーの各種大会が開かれてきた。県スキー連盟の阿部和博会長は「競技会場として南会津地方の中核的なスキー場。近年降雪量が不安定になる中、会場の選択肢が減るのは痛手だ」と吐露した。 両スキー場の閉鎖方針が示された町議会の議員全員協議会では、一部の議員から「リフトの数を減らすなどして存続させる道はないか」との声が上がった。これに対し町側は、「残る二つのスキーを有効に活用するなどしたい」と理解を求めた。 ■生き残り工夫必要 県内スキー場 スキー人口の減少や温暖化による降雪量の減少などの逆風に直面する県内の各スキー場では、生き残りを懸けて知恵を絞る。
二本松市のあだたら高原スキー場では、ゲレンデに電飾を設置して天の川を表現する「あだたらイルミネーション」を催し、夏場の誘客を図っている。運営会社のあだたら高原リゾートの安斎誠総支配人は「スキー人口が減少する中で客の取り合いになっている面もあり、冬以外にも足を運んでもらう工夫が必要」と狙いを明かす。 金山町営のフェアリーランドかねやまスキー場では、町民が無料で利用できる事業を行い、利用拡大を目指している。町の担当者は「雄大な自然環境の中で滑れる魅力をPRし、身近なところからスキー場ファンを増やしていきたい」としている。