相場より安い中古車が存在する理由。格安車が危険というのは誤解、その値段で販売できる理由がある
しかし、おとり広告はれっきとした景品表示法違反になり、2023年10月1日からは中古車の支払総額表示が義務化されたので、大手の中古車情報誌や情報サイトに掲載されている店舗のほとんどがこういった悪質な手法は使っていないと考えていいだろう。 もちろん、走行距離を少なく改ざんする“メーターの巻き戻し”を行う、また修復歴や水没歴を隠して販売するといった悪質な手段を使って相場より安い価格で販売している可能性もあるが、しっかり看板を掲げている中古車販売店であれば、そのようなトラブルに巻き込まれることもほぼゼロと言える。
では、「なぜ相場よりも大幅に安い中古車が存在するのか」という点だが、中古車販売店も商売であるから当然、利益と経費が発生する。そこに相場よりも安く中古車を販売できる理由が隠されているのだ。 中古車にかかる経費は大小さまざまだが、最も大きなものが車両を仕入れるためにかかる費用だ。ほかにも仕入れた車両の商品化に必要なクリーニングや点検整備、店舗運営にかかる費用や人件費などもあり、車両を販売する場合は、それらの費用に利益を乗せて、相場にあった金額で店頭に並べることになる。
そして、中古車販売店は、専門業者だけが利用できる「業者オークション」と呼ばれる場所でクルマを仕入れるのが一般的だ。この業者オークションで中古車を仕入れると、落札金額のほかに消費税はもちろんのこと、手数料やオークション会場から店舗までの運搬費など細々とした費用も発生してしまう。車両本体価格のほか、さまざまな費用が上乗せされるのだ。 つまり、これらの費用を極限まで圧縮することができれば、販売価格も下げることができるのだが、それを現実する方法のひとつが“下取車”である。
■お得感の高い下取車とは? 下取車とは、クルマを購入する際に、カーディーラーや中古車販売店に現在乗っているクルマを買い取ってもらうシステムのことだ。ユーザーから直接クルマを買い取る下取車であれば、業者オークションに関わる費用は一切かからないし、そのユーザーが既存客であれば、車両の状態もある程度把握できているため、商品化にかかる費用なども逆算できる。そうなれば、そこに一般的な利益をプラスしても、ほかの販売店の同等の車両よりも安い価格で店頭に並べることができるというワケだ。