「90年代のHIPHOPシーン」実際はどんな感じ? DJ MASTERKEY&DJ KROに聞く“試行錯誤の時代”
伝説のイベント「DADDY'S HOUSE」
続いて、90年代末から2000年代初頭の日本のHIPHOPシーンの盛り上がりについて話を訊いた。 あっこゴリラ:MASTERKEYさんはニューヨークから帰国されて97年から渋谷のHARLEMにて毎週金曜の夜のパーティ「DADDY'S HOUSE」というのをスタートされました。渋谷の夜をぶち上げ続けた伝説のイベントをされていますが、当時「DADDY'S HOUSE」はどんなところが画期的だったのでしょうか。 DJ MASTERKEY:それまではもう少しアングラなイメージがありました。中箱のHARLEMさんができて、お客さんがたくさん入って、俺のイメージではニューヨークみたいなイメージ、だからHARLEMなんです。それでお客さんが盛り上がる、MCがDJする、それでドッカンドッカンいく。そういうのをイメージしてHARLEMさんでやらせてもらうようになりました。2000年代はそんな感じでした。 あっこゴリラ:クラブもかなり盛り上がっていたんですか? DJ MASTERKEY:2000年ぐらいはけっこう盛り上がっていました。当時のビデオとかいっぱい持っています。自分が撮ったやつもあって、それは都内だけではなくて地方に行ったときもずっと撮っていたの。それを観返してみるといまよりも、もしかしたら盛り上がっているかもしれないですよ。とにかく人が来ていました。 「DADDY'S HOUSE」は盛り上がりとともに音源作品になった。2001年にMASTERKEYのもとに当時のトップMCたちが集結してオリジナルアルバムを「DADDY'S HOUSEシリーズ」を制作。そして『DADDY'S HOUSE VOL.1』が23年の時を経て『DADDY'S HOUSE Vol.1 2024 Remix』としてリリースされた。 DJ MASTERKEY:23年前のアルバムなんですがそれをリミックスしまして、いまタワーレコードさんとディスクユニオンさんで売っています。5月末から自分のサイトでも売ります。ノベルティというか当時の曲をCDで付けてプレゼントします。ぜひ聴いてください。 あっこゴリラ:23年ぶりにリミックスで出そうというのは、どのような想いがあるのでしょうか。 DJ MASTERKEY:原盤を自分で持たせてもらっているので「どのタイミングで(出そうか)」とは考えていて。本当はコロナ前に20年(ぶり)でいきたかったんですが、3年丸々ずれてしまいました。 あっこゴリラ:『DADDY'S HOUSE Vol.1 2024 Remix』から1曲お届けします。 DJ MASTERKEY:これは『サイコロ 52』という、それこそBUDDHAの面子が歌っているやつです。DEV LARGEが参加していますが、当時録っていたバースがあって、それを俺が見つけちゃったんです。ハードディスクのなかにあって「あれ、これヤバいじゃん」と、使ってしまっています。 あっこゴリラ:ヤバい。 DJ MASTERKEY:それをCQ、NIPPSとDEV LARGEの3人でやったという『サイコロ 52』のリミックスです。 番組では『サイコロ 52 2024 Original Remix feat. NIPPS / CQ / DEV LARGE』をオンエアした。 DJ MASTERKEY:本当にJ-WAVEでこれがかかるというのが信じがたいです(笑)。 あっこゴリラ:KROさん、時間的に最後に1個だけ質問をお願いします。 KRO:MASTERKEYさんにとってDJとは? DJ MASTERKEY:自分の人生でまっとうするものだと思っています。もちろん音楽も好きですし昔から「これで生計をきちんと立てる、これで人生をまっとうに務めていく」という想いでした。ひとつの仕事としてみなさんが認められるような、そういう日本になってもらいたいとずっと言っていました。 KRO:最高です。 あっこゴリラ:いまDJで生計立てられている人いっぱいいるけど、それはMASTERKEYさんがやってくれたからこそね。 KRO:夢をみんな見させてくれました。 DJ MASTERKEY:まだ志(こころざし)の途中なので。人間ですからいいときも悪いときもあるのが当たり前ですけど、もっと前向きに進んでいきたいなとようやくこの歳になって思うようになりました。 あっこゴリラ:間違いない。 DJ MASTERKEY:とにかくポジティブに感謝の気持ちを忘れずにみたいな。 DJ MASTERKEYの最新情報は、公式サイトまで。 音楽を愛する全ての人と作り上げる(超)進化型音楽番組『SONAR MUSIC』の放送は毎週月曜日から木曜日の22時から。