15年前の半数以下に 昨年1896人、和歌山県内海面漁業の就業者
昨年11月1日時点の和歌山県内海面漁業の就業者数は1896人で、ここ15年で半数以下に減少したことが、農林水産省の「漁業センサス」(概数値)で分かった。記録が残る1963年には1万179人いたが、調査ごとに減り、当時の2割以下となった。 【小型鯨類追い込み漁 和歌山・太地で初出漁の記事はこちら】 同省が5年に1度実施する調査で、県が県内分をまとめた。海面漁業の就業者は海沿いの6市12町を対象に調べた。 漁業就業者は満15歳以上で、過去1年間に自営漁業の海上作業に30日以上従事した人。調査開始以降、減少し続けており、2008年には4千人を下回り3922人となった。13年は2907人、18年は2402人で、昨年はさらに506人(21・1%)減った。 全国でも同様の割合(20・1%)で18年から3万471人減り、12万1230人となった。 県内海区別では、瀬戸内海区(和歌山市―日高町)は757人で5年前より192人(20・2%)減り、太平洋南区(美浜町―新宮市)は1139人で314人(21・6%)減った。 年代別では60代以上が52・5%と半数超を占める。最多は50代の382人(20・1%)、60代と75歳以上がいずれも364人(19・2%)、70代前半が267人(14・1%)など。 最も少ないのは15~19歳の19人で、全体の1%しかないが、5年前より9人増えた。20代も116人(6・1%)と少ないが、11人増加した。 ■経営体、印南で7割減 過去1年間に30日以上、漁業をした世帯や事業者などを指す「漁業経営体」は、5年前より302(19・1%)減り1279となった。 経営体の数が市町別で最も多いのは串本町(244)で、全体の2割を占める。ほかに多いのは和歌山市(143)、有田市(135)など。 白浜町は84で8増加したが、ほか17市町で5年前より減少した。最も減少率が高かったのは印南町の67・2%で、64から21に減った。 このほかの紀南の市町は、みなべ町が3(4・8%)減の60▽田辺市が8(9・5%)減の76▽すさみ町が7(14・3%)減の42▽那智勝浦町が45(36・3%)減の79▽太地町が6(13・0%)減の40▽新宮市が9(27・3%)減の24だった。 過去1年間の漁獲物などの販売金額別では、100万円未満が456経営体(35・7%)、100万円~300万円未満が328経営体(25・6%)など300万円未満が半数以上を占めた。また、個人の1243経営体のうち、後継者がいるのは16・9%の210経営体だった。 県水産振興課は就業者数の減少について「漁獲量の減少や高齢化などの要因があり、厳しい状況と認識している。新規就業者への実践研修などの事業を通じて、担い手を育成していきたい」と話している。
紀伊民報