東京非鉄金属商工協組が意見交換会。銅スクラップ「買い負け」長期化懸念、十分な数量集まらない可能性も
非鉄原料問屋を中心に組織する東京非鉄金属商工協同組合(理事長・田子政夫田子金属社長)は20日夕、都内で業界動向に関する意見交換会を開催した。銅スクラップを取り巻く環境について、中国の需要が強まっていることを背景に輸出事業者に対する「買い負け」が生じており、その長期化が懸念として挙がった。カーボンニュートラルを目指す中国の需要は今後も強いままと見通されていることから、「買い負け」が続くことで、将来国内需要家向けに十分な量を集荷できなくなる可能性も出てくるとの指摘もされる。 市中の商いについては、問屋からは「輸出事業者は山行銅を高く買っている。国内向けを主とする問屋の仕入れ値からキロ当たり20円以上の高値が見られる」「込銅では、我々は手が出ない値段が付いている時がある」との声が聞かれた。加えて、価格都合で輸出量が過去少なかった1号銅線に対しても輸出に見合う値段を昨年秋ごろから出すようになっているといい、中国は銅スクラップ全般に調達意欲を示していることがうかがえる。 中国の銅スクラップ需要は高水準が続くとみられる。カーボンニュートラル推進のためのスクラップ使用だけでなく、電気自動車(EV)シフトなどによって銅自体の需要も増えると見込まれるためだ。日本からの輸出増は円安元高の影響との見方もされていたが、問屋筋は「中国はドル建ての品物でも高く買っている」と述べ、為替に関わらず集荷意欲があるとした。 銅スクラップは国内製錬メーカーや伸銅メーカーの原料。原料の安定確保に向けては、メーカーとの価格交渉などを通して「買い負け」しない価格水準をつくりあげていくことが今後の課題となる。