シークレットサービスの憂鬱 トランプ氏暗殺未遂で改革論再び【ワシントン報告⑳大統領警護隊】
今回の暗殺未遂は容疑者が身を伏せた建物の屋根になぜ要員を配置しなかったかが最大の問題になっている。警護隊と地元警察との間で意思疎通が十分でなかったとも指摘されている。 日本の警察組織は警察庁の下で一元化されているが、自治意識が強い米国は連邦捜査局(FBI)と州警察が別系統なのはもちろん、警察も高速道路や港湾、学校、鉄道など公共部門ごとに細かく分かれている。米在住の日本の警察関係者は「これでよく連携が取れるなと感心する」と話すが、実際は今回のような落とし穴もあるのだろう。 ▽分離 警護隊が担う金融捜査はFBIなどと業務が重なる。分離論が出るたび、警護隊は金融捜査のノウハウが警護に役立ち、警護が忙しい時期は捜査部門の人員を機動的に回せると反論してきた。警護隊の業務を見直した政府監査院(GAO)の2020年の報告書は「聞き取りした警護隊員40人のうち26人が金融捜査業務について、警護業務に必要な技術を磨くために重要と回答した」と記し、理解を示した。
報告書はまた、金融犯罪捜査が有益なことは認めたものの「幅広い金融捜査のどの部分が役立つのか明確にすべきだ」と勧告した。今回の事件を受け議会には警護業務に限定する法案が提出される見通しだ。