農業復興を目指して新たな特産品を!南相馬産大豆の商品開発に取り組む若手社員の挑戦(福島)
福島放送
津波や原発事故による避難で大きな打撃を受けた農業の復興に向け、南相馬市で大豆を使った新しい商品の開発が進められています。 任されたのは、南相馬市小高区の農業法人「紅梅夢ファーム」で、入社6年目の鈴木ふみかさん。 東日本大震災の津波で大きな被害を受けた小高区では、原発事故による避難指示や作付けの制限もあって、農業の再開を諦める人も少なくありませんでした。 一度は荒れ果ててしまった農地を再生し、ふるさとの農業を守ろうと2017年に設立されたのがこの農業法人でした。 法人化される前から模索してきたのが、コメ以外の農作物の栽培。 当時は風評の影響で価格が低迷していたうえ、農業用水の確保にも課題があったコメづくりのほかに、菜種油の生産などに挑戦してきました。 ここ数年、力を入れているのが、小高区では他の生産組合なども栽培に取り組んでいる大豆です。 大豆の作付面積は年を追うごとに少しずつ増えていますが、「特産品」と呼べるほどの知名度がないのが課題です。 小高産の大豆の知名度アップを目指して、取り組むことにしたのが新しい商品の開発。 担当者として白羽の矢が立ったのが、鈴木さんでした。 持ち前の明るさで、農業法人のムードメーカーとして活躍している鈴木さん。 市内の相馬農業高校出身で、在学中には授業の一環として地元のバラの花びらを使ったお茶の商品開発も経験していました。 「自分が手にかけた、いろいろ考えた商品が世に出るっていうのってすごい楽しいし、うれしい。自信を持って売り出していく時に『私が作ったんですよ』みたいなこと言えるし、すごく楽しかった。」と当時を振り返ります。 今回は母校の後輩たちの力も借りて、収穫した大豆の6次産業化商品を開発することに。 販売で協力してくれるいわき市を中心に店舗を展開するスーパー・マルト、福島市の菓子店のラポール泉の担当者も交えて、納豆やいなり揚げの大豆製品、大豆クッキーや大豆チョコなどの菓子の開発に9月から取り組んでいます。 使用する大豆の特徴は、何と言っても粒の大きさ。 納豆の場合は、市販されている一般的な小粒納豆の2倍近い、超大粒の納豆になります。 後輩たちに授業で考えてもらうのは、主に味付けやパッケージの案などですが、授業の中では意外なアイデアが飛び出すこともあり、「『納豆の中にナッツを入れたら食感が面白いんじゃないか』みたいな話もあった」とのこと。 高校生の斬新なアイデアも取り入れながら、少しずつ前進している小高産大豆の商品開発の狙いは、大豆を新たな特産品として育てるだけではなく、地域の農業の現状を広く知ってもらうことにもあります。 「地元の農業を盛り上げていきたいっていう人が出てきて、一緒にやっていきたいっていう人がいて、うちの会社に入ってくれるのもうれしい。南相馬市全体の農業を一緒に盛り上げていけたら」と話す鈴木さん。 作物を育てるだけではなく、魅力的な商品として売り出すことで、ふるさとの農業を盛り上げたい。 南相馬市では若い農業者の挑戦が続いています。 ※詳しくは動画をご覧ください。