トランプ氏支持の新たなつなぎ予算案、下院で否決 政府閉鎖迫る
Bo Erickson Richard Cowan Andy Sullivan Katharine Jackson [ワシントン 19日 ロイター] - 米下院は19日、共和党が策定した新たなつなぎ予算案を否決した。当初案に反対していたトランプ次期大統領も新たな案は支持し、賛成票を投じるよう促していたが、共和党から38人の造反が出た。一部政府機関の閉鎖が差し迫っているが、回避するめどは立っていない。 政府支出を拡大し、債務を増大させる案に同党の保守派議員が反対し、賛成174、反対235で否決された。 共和党のジョンソン下院議長は「別の解決策を考える」と記者団に述べたが、詳細には踏み込まなかった。 つなぎ予算案に反対票を投じた共和党のロイ議員は、「財政責任を掲げる党があつかましくも国民に対し、これが財政的に責任のあるものですと主張する姿勢には心底うんざりする」と切り捨てた。 現行のつなぎ予算は20日深夜に期限が切れる。それまでに議会が新たな案を可決できなければ、クリスマス直前に国境警備などさまざまな予算執行に支障が出るほか、連邦職員の給与支払いが止まる。米運輸保安局(TSA)は空港に長蛇の列ができる可能性があると警告した。 この日に否決された案は3月までの政府予算を手当し、災害救援に1000億ドルを充てる一方、議員報酬引き上げなど当初案に盛り込まれていた他の項目は含まれなかった。トランプ氏の要求を受け、連邦債務上限を2年間停止する内容も盛った。債務上限を停止すれば、同氏が掲げる大規模減税を実現しやすくなる。 民主党は同案について、トランプ氏を支持する実業家イーロン・マスク氏ら富裕層を中心に恩恵をもたらす一方で政府債務を数兆ドル拡大させる減税の隠れみのだと批判した。 仮に同案が下院を通過していたとしても、民主党が多数派を握る上院での可決は難航が予想された。また、ホワイトハウスはバイデン大統領が案を支持していないと明らかにした。 連邦債務上限は合意に基づいて一時停止されている。期限は1月1日だが、議員らは春までこの問題に取り組む必要はないとみられる。