積水ハウス、「循環する家」実現へ リサイクル部材だけの家づくり
積水ハウスは、住宅業界におけるサーキュラーエコノミー移行を目指し、具体的なアクション「家がまた誰かの家に生まれ変わる『循環する家』Circular Design from House to House」と2050年までの達成目標を、住宅業界で初めて宣言した。 【この記事に関する別の画像を見る】 「House to House」は、家がまた次の家の資源として循環することの実現を目指す取り組み。3万点以上からなる家の部材(軽量鉄骨戸建て2階建住宅・延床面積162m2の場合)を見直し、リサイクル部材(リユース、リニューアブル等を含む)だけで構成された家づくりと、その持続可能な資源利用を目指して、「つくり方から、つくりなおそう。」をスローガンに掲げて活動している。 他の業界では、「Bottle to Bottle」や「Car to Car」などの取り組みが動き始めている。一方、住宅業界は多数のサプライヤーが関わること、さまざまな素材が組み合わさった複合材が多く使われていることなどから、一社だけでのHouse to Houseは難しく、相当広い範囲で部材ごとのリサイクル開発が行なわれなければ実現が困難だという。 そういった中で、具体的なアクションとして「House to House」を宣言することで、サプライヤーをはじめとした業界のさまざまな関係各所と協力しながら「サーキュラーエコノミー」移行につなげる。 積水ハウスは独自の資源循環システム「積水ハウスゼロエミッションシステム」により、新築施工およびアフターメンテナンスと改修時に排出される廃棄物を全国21カ所ある自社施設「資源循環センター」に回収して全てリサイクルしている。 House to Houseの2050年までの実現へ向け、このノウハウについて説明会や施設見学などを通じてサプライヤーと共有する取り組みを始めており、建設現場での廃棄状況を把握することから課題を見つけるなど、資源循環に繋がるヒントになっているという。 こういった取り組みを通じて、10社以上のサプライヤーと建材の開発や改善等の具体的な検討を行なっているほか、ブリヂストンや大建工業ではすでに実際の運用が始まっている。 また、東京大学 清家剛教授とともに、主に現状分析を目的とした共同研究を進める。清家教授は建築生産と環境について考える立場から、改修・解体技術やリサイクル技術、環境に配慮するための設計・生産段階の意思決定プロセス等を研究している。清家教授と積水ハウスは、それぞれが持つ知見を活かした共同研究を行なう。研究名称は「住宅分野におけるサーキュラーエコノミー移行に関する研究」。
Impress Watch,加藤綾