巨人・井上温大を支えたクリーム色の〝験担ぎグラブ〟 キャリアハイ8勝&侍ジャパン開幕投手
【球界ここだけの話】勝負の世界には、人それぞれあらゆる種類の験担ぎが存在する。巨人・井上温大投手(23)の場合は、商売道具の一つであるグラブだ。同じメーカーで同じ型のもので黒色とクリーム色の2つを所持しているが、試合でマウンドに上がる際は必ず後者を使うと決めている。 「(2022年に)支配下に戻れたとき、初めて1軍に呼ばれたとき、初勝利をしたとき、全部クリーム色のグラブだったんです。次の年(23年)に黒色を使っていたらボコボコに打たれてしまって…」 登板日は試合前練習から必ず使うという〝相棒〟とともに、高卒5年目の今季飛躍した。シーズン開幕こそ2軍で迎えたものの、4月にロングリリーフとして昇格。救援で結果を残して6月に先発のチャンスをもらうと、以降は先発ローテーションの一角を守り抜いて完走。キャリアハイの8勝5敗、防御率2・76でチームの4年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。「今年に入って声をかけられることが多くなりました。デパートの中だったり、同世代くらいの男の人に話しかけられたり」。ブレークしたことにより、街中でもファンに見つかるようになったという。 ポストシーズンでも快投を披露。DeNAとのCSファイナルではチームが3連敗を喫して迎えた第4戦に先発して6回1安打1失点。土壇場のに立たされたチームに勢いを取り戻した。来季使用するグラブもすでにオーダー済み。硬さを調整するために革のデザインは少し変えるものの、試合用グラブの色は「験を担いで」と引き続きクリーム色を選んだ。 実力が認められ、オフシーズンに入って思わぬ知らせが届いた。侍ジャパンのメンバーに追加招集された。当初は自身が選ばれたことについて不安を口にすることもあったが、「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」の1次リーグ初戦、11月13日の豪州戦(バンテリンドーム)で開幕投手を任された。5日に行われた広島との練習試合では3回無安打無失点、4者連続を含む5奪三振と堂々の内容で〝侍デビュー〟。野球人生初の日の丸を背負い、世界の強打者を相手に実力を見せつける。(原田優介)