目が不自由な旅芸人「瞽女(ごぜ)」と寺の仏画を解説する「絵解き」の共演 ともに父親探す物語「石童丸」を語るに至った縁
越後瞽女(ごぜ)唄に取り組む東御市の広沢里枝子さん(65)と、仏画を解説する「絵解き」を伝承する長野市の竹沢環江(たまえ)さん(60)が25日、それぞれに伝わる演目「石童丸(いしどうまる)」を、ゆかりのある同市のかるかや山西光寺で演じた。3月に埼玉県鴻巣(こうのす)市で開く公演に向けたリハーサル。物語を描いた仏画を前に、張りのある声を響かせ合った。 【写真】長野市の寺の縁起になっている「石童丸」。物語を描いた仏画を解説する絵解き
「石童丸」は出家した父親を息子の石童丸が捜し歩く物語で、同寺の縁起(由来)にもなっている。竹沢さんは前住職の故・信宏さんと結婚した縁で、同寺に伝わる絵解きを受け継いだ。
瞽女唄は目の不自由な女性旅芸人が伝えてきた芸能。視覚障害がある広沢さんは10年前から取り組んでいる。広沢さんは瞽女唄の「石童丸」を知り、2018年に同寺を参拝。竹沢さんの絵解きを聞き「いつか一緒に演じたい」と、練習を重ねてきた。
リハーサルを終えて、広沢さんは「昔の瞽女さんたちもこの寺で絵解きを聞いて、瞽女唄に取り入れたのかもしれないと思った」。竹沢さんは「広沢さんの努力と石童丸の姿が重なって、涙が出た」と話していた。