センバツ高校野球 作新学院3年生、後輩にエール 去年の「8強」超えて /栃木
◇グラウンド訪れ、練習助言 第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場する作新学院は、2年連続で甲子園の舞台に上がる。昨年のセンバツでともに戦い、現在は卒業を控える3年生も笑顔で後輩たちを祝福し「全力で優勝を目指してほしい」と熱いエールを送っている。【鴨田玲奈】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 1月26日の出場校発表当日、同校グラウンドには前主将の草野晃伸さん(3年)と前マネジャーの鈴木駿太郎さん(同)の姿があった。「去年先輩たちが来てくれてうれしかったので、自分たちもと思って」と草野さん。鈴木さんも「一緒に頑張ってきた後輩たちの晴れの瞬間、一緒にいられたらいいな」と話し、2人で見に行くことに決めた。 吉報が届いた瞬間、選手たちは、表情一つ変えずに真っすぐ前を見つめていた。その落ち着いた様子に、鈴木さんは「自分たちのときと違って、選ばれるだけで満足していないのだろうと思った。本気で優勝を目指しているんだ」と頼もしさを感じた。発表後、2人は親交の深い後輩たちに「おめでとう」「去年の成績を超えてくれ」などと励ました。 草野さんは30日にもグラウンドを訪れ、選手たちとともに打撃練習に取り組んだ。引退後も週に1、2回は練習に参加しているといい「アドバイスをするというよりも、いろんな後輩とコミュニケーションを取りたいなと思っている」。会話の中で、チームの状況や技術面の相談を受けることもあるといい、「引退して少し離れたからこそ話してもらえる部分もあると思う。厳しくするのではなく、他愛もない話をしながら寄り添いたい」と心がけている。 昨秋の関東大会の数日前には1、2年生対3年生の紅白戦が行われ、下級生チームは大差で負けた。終了後、主将の小森一誠(2年)が一人で肩を落としているところを見つけ、草野さんは声を掛けた。「県大会が終わってからチームがまとまらないんです……」とこぼした小森に対し、「自分一人で抱え込み過ぎると良くない。自分で考えることも大事だけれど、仲間に話すことで共感してくれてまとまることもある」と助言した。この後、小森は同学年の数人に相談することができたといい、「関東大会で優勝するという目標が全員に浸透して、チームが一つになった」と感謝する。 鈴木さんも2週間に1回ほど練習に出て、マネジャーの寺門樹広さん(同)や、打撃練習をする選手たちにアドバイスをしている。新チームが始動した昨年8月ごろにはミーティングに参加することもあった。「チームとしての目標、個人での目標を明確にすること、うまくなるために全員で競争していかなければ、チームは強くならないことを伝えた」と振り返る。 昨年のセンバツで草野さん率いるチームは8強の成績を残した。高校生活を振り返り、甲子園での経験は「一番の財産」だ。今年のチームについて、「全員が優勝するという目標を持っている良いチームだと思う。甲子園での経験を楽しみつつ、地に足をつけて試合をしてほしい」と鈴木さん。草野さんも「甲子園はお客さんも一体となる場所。流れが変わりやすいので、選手たちがどうやって有利な雰囲気に持っていけるかが重要。神宮大会も経験して力はあるので、自信を持って臨んでほしい」と話した。